May 11, 2012

EP盤あれこれ その二

オスカー・セレスティン、ODJBと続いたオランダ・フィリップスの「クラシック・ジャズ・マスターズ」のシリーズからもう一枚、アルフォンソ・トレントと並ぶ、テキサスを代表するテリトリー・バンド、トロイ・フロイドを。
LPではニュー・ワールドのテリトリー系のオムニバスや、昨年11月に紹介した英パーラフォンの『Territory Bands 1926-29』、そしてこれまただいぶ以前に紹介したフォンタナの『Nothin' But The Blues』で聴けたのだけど、かなりのスキモノでないとご存じないかも。
代表曲は“Shadowland Blues”、“Dreamland Blues”の2曲のブルースで、後者ではベイシーのオール・アメリカン・リズム・セクションの一翼を担ったハーシャル・エヴァンス(グレート!)の初録音にして初のソロが聴ける。もちろん、ドン・アルバートのトランペットもいい。

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TROY FLOYD 1928-29 (Philips) [EP]

つづく…


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May 01, 2012

EP盤あれこれ その一

オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンドは今さら言うまでもなく、ジャズ史上初の録音を行ったバンドであるが、リーダーで自称「ジャズの創始者」のニック・ラロッカの人物像は、ジャズ・ミュージシャンに到底あるまじき傲慢な差別主義者であったようだ。

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ラロッカは死ぬまで言い続けます。
ジャズは白人だけで創り出したものだと、黒人は関係ないと言い切りました。
ジャズのリズムをアフリカのものとして黒人にルーツを求める評論家もいる。
だが黒人は白人からこのリズムを教わったんだ。
どのジャンルの音楽でも白人のほうが黒人より上手だ。
~ニック・ラロッカ
『KEN BURNS JAZZ』より
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しかしこの時代、この手の人間は珍しくとも何ともなかったであろうし、むしろそういう時代であったわけだ。だがそんな中、数年の後にはオースチン・ハイスクール・ギャングと呼ばれる、黒人ジャズに傾倒し範をとった白人青年たちが出てくるのである。

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First Jazz Recording 1917 (Philips) [EP]
ODJBとルイジアナ・ファイヴのカップリング盤。ODJBの成功によって、雨後のたけのこの如く白人ジャズ・バンドが登場するわけだが、ルイジアナ・ファイヴはそんなバンドのひとつ。

ニック・ラロッカは25年、神経衰弱に苦しんで引退。

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Apr 30, 2012

Lorenzo Tio Jr

ジョン・チルトンの『Who's Who Of Jazz』を引くと、ロレンツォ・ティオ・Jrは1910年からオンワード・ブラス・バンドでプレイを始め、そして正式にクラリネットを教え始めたとある。ティオは1884年生まれであるから、若き新任教師といった風情であったろう。卒業生名簿にはバーニー・ビガード、ジョニー・ドッズ、アルバート・ニコラス、ジミー・ヌーン等々、多くの名プレイヤーたちが名前を連ねている。
1913年、フレディ・ケパード、キング・オリヴァーらと共にアーリー・ジャズ期の巨人の一人と称されるコルネットの名手、オスカー・パパ・セレスティンのバンドへ加入。その後シカゴへ出るも1917年にニューオリンズへ戻り、翌年再びセレスティンと合流、ヴァイオリニストのアルマン・J・パイロンと仕事をするようになる。

実際にティオの演奏が聴けるのはジェリー・ロール・モートンのレッド・ホット・ペッパーズ、パイロンズ・ニューオリンズ・オーケストラ、クラシック・ブルース・シンガーのローラ・スミス、エヴァ・テイラーなどがある。

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画像は2枚ともEP盤。
PIRON NEW ORLEANS ORCHESTRA (Fontana)
OSCAR CELESTIN 1925-1928 (Philips)

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Apr 25, 2012

NORK~モートン~シメオン

前回画像のレコード、『Crescent City White Jazz』と同趣向のアルバムに、『Crescent City Rhythm 1923-1924』というのがある。オランダ・リヴァーサイドの「クラシック・ジャズ・マスターズ・シリーズ」の1枚で、ジェリー・ロール・モートンの加わったN.O.R.K.、オリジナル・メンフィス・メロディ・ボーイズ(ともにジェネット原盤)、ミッドウェイ・ガーデン・オーケストラ、ニューオリンズ・ジャズ・バンドの四つのバンドが収められている。ちょっと思い出したのでついでに。

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モートンのレッド・ホット・ペッパーズのクラ奏者で、“Black Bottom Somp” や “Doctor Jazz” などの名演を残したオマー・シメオンは、ドッズやヌーン同様、ロレンツォ・ティオ門下生の一人だが、その師であるティオに捧げたと思われる「ロレンツォズ・ブルース」という曲を45年に吹き込んでいる。ジェイムズ・P・ジョンスン、ポップス・フォスター、シメオンの3人よって演奏されたこのオリジナル曲は、滋味あふれるしみじみとした作品となっている。
このトリオ・バンドは全部で4曲の吹き込みがあるが、どれもなかなかよい。

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OMER SIMEON TRIO (Tempo) [EP]

つづく…

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Apr 16, 2012

レオン・ラポロのラスト・レコーディング

ニューオリンズ・リズム・キングスはレオン・ラポロとジョージ・ブルーニスという二人の名手を擁していたが、全体としてはどうも今ひとつパッとしないバンドだった。聴きどころとなるのは、やはりジェリー・ロール・モートンが参加したトラックと、そしてもちろん天才レオン・ラポロの個人技で、マイルストーンの2枚組LPを聴くといつも決まってそう思ってしまう。
ラポロは精神を病んで音楽の世界から引退、若くして他界してしまうが、その彼の最後の録音となったのがアルバート・ブルーニスがリーダーを務めるハーフウェイ・ハウス・オーケストラだった。このバンドは彼のジャズ人生のスタートとなったバンドでもあった。

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Apr 08, 2012

夫婦デュオの系譜 その二~GRANT AND WILSON on LP

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グラント&ウィルスンを収録したLPは次のとおり。あくまでも僕の持っているものの中からなので、当然これ以外にもいくつかある。

V.A. - Rare Blues Of The Twenties 1924-1929 (Historical)
V.A. - Collectors Items 1925-1929 (Historical)
V.A. - Jazz Potpourri Vol.2 (Meritt)
Louis Armstrong & Sidney Bechet in New York 1923-1925 (CBS)

どれも1、2曲しか入っていないが、単独LPがないのだから仕方ない。一番最後のサッチモとベシェのは、スミソニアン・コレクション・シリーズの2枚組LP。昔何度も聴いた思い出の一枚。

この種の芸(夫婦掛け合いもの)を初めてレコーディングしたのはドーラ・カーとカウ・カウ・ダヴェンポートのコンビだった。と、ポール・オリヴァーの『ブルースの歴史』にある。『BLUES RECORDS』を引いてみると1924年1月に吹き込んでおり、バタービーンズ&スージーの初録音1924年3月22日よりわずかに早い。
残念ながら僕はこのドーラとダヴェンポートの初吹込みの入ったレコードを持っていないのだけれど、ただ同じコンビの1926年録音を収録したLPなら持っていて、それを聞く限りでは古き良きヴォードヴィル・ソングといった趣のある作品となってる。
そういえば、夫婦ではないが、ロニー・ジョンスンとヴィクトリア・スピヴィのコンビにも掛け合いものがあったことを思い出す。ロニーが歯医者、スピヴィが患者に扮してのもので、「アゥ~ン、ウッフ~ン」と思わずニヤニヤしてしまうエロティックなものだった。

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Mar 21, 2012

夫婦デュオの系譜 その一~グラント&ウィルスン

Docd5563かつてソニー・レコーズから国内盤としてもリリースされたルーツン・ブルース・シリーズの一枚に、『ローンチィ・ビジネス』というボーディ・ブルースを集めたコンピがある。ルシール・ボーガンやボ・カーターらの、お馴染みのボーディ・ソングに混じって、ハンター&ジェンキンスが2曲収められていたのだが、これがこの夫婦デュオの名前がはっきりとクレジットされた初のCDではなかったかと思う。とは言っても、多くの方には「ハンター&ジェンキンス? 誰それ?」であろうか。ハンター&ジェンキンスは、グラント&ウィルソンの変名なのだが、それでもやはり「誰それ?」か。

ポール・オリヴァーの『ブルースの歴史』によると、1900年頃、シンガー/楽団の最大の稼ぎ場所は「劇場」であった。その盛況ぶりに目を付け1909年にTOBA(シアター・オウナーズ・ブッキング・エージェンシー)が発足、アーティストらにとってはかなりの低賃金という悪条件ではあったが、傘下にある40を超える劇場すべての契約が保証されるというしくみだった。こうした環境がクラシック・ブルース/ジャズ・シンガーを育て、評判を得ていったのである。話を少々端折るが、そうした中、黒人ヴォードヴィルで特に人気があったのが夫婦掛け合いの出し物で、そのスタイルを洗練の域にまで極めたのがバタービーンズ&スージーのコンビあり、その彼らに迫る人気を誇ったのがグラント&ウィルスンだった。

ところで、バタービーンズ&スージーは単独LPがあったのに対し、グラント&ウィルスンはドキュメントがコンプリートでCD化(全3枚)するまで、まとめて聴くことができるLPは(多分)なく、戦前ブルース/ジャズのオムニバスで1、2曲聴ける程度だった。

つづく…


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Mar 02, 2012

バップ・ピアニスト四天王(白人)

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昔、アル・ヘイグを聴いたことがきっかけとなり、ジョー・オーバニー、ドド・マーマローサといった白人バップ・ピアニストを聴くようなった。この三人のピアノに共通するのは硬質、精巧、そして求道的とも言えるストイックさにあると思うのだが、ただそんな中にも哀感というか、白人特有の切ない歌心があって、それが一度はまってしまいとなかなか手放すことのできない執着心を生むのだと思う。
さて、前回ジョー・オーバニーの『Birdtown Bird』を取り上げて、「オーバニーはトリオよりもソロがいい」と書いたが、先日久しぶりに『Proto Bopper』聴いたら、やはりトリオもいい。
オーバニーのピアノはバド・ウエルの流れを汲むものだが、何か病んでるというか、紙一重的危うさというか、屈折した独特の味わいがある。だから長く続けて聴くと疲れるのだけど、でもしばらく経つとまた無性に聴きたくなる。麻薬的と言うのだろうか(もちろん未経験ですが)。

ところで、当エントリーを「四天王」としたけど、三人しか名前を挙げていない。あと一人は? もちろんジョージ・ウォーリントンだが、それはまたの機会に。

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Jan 27, 2012

2011年収穫

1月も後半。2月になる前に、とりあえず昨年の収穫(と言えるほどのものはありませんが)を。まずはブルース2枚。

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フェスの10吋盤。以前、BSRで見て「いいなあ」と思っていた1枚。内容は1953年から59年となっているが、ちょっと違う。音源はエブ、ロンほか。

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パール盤は持っているが、これをまだ持っていなかったのだ。面目ない。はっきり言ってこれはいいレコードだ。

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スティープルチェイスのこのジャケット盤はなかなか見ない。いや、実はヤフオクで一回落とし損なっているんですが。内容だが、オーバニーの今ひとつスウィングしきれないというか、わざわざ自ら苦渋の選択しているかのようなプレイというか(わかりにくいか)、こういうピアニストなのだといえばそれまでなのだけれど、しかしやはりこの人はトリオよりもソロの方がいいと思った。

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これは準名盤といったところ。“Dear Old Stockholm”、この一曲に尽きる。


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Dec 29, 2011

レコード数珠つなぎ(2)~Marvin Smolev

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VJM盤の解説によると、マーヴィン・スモレフ&ヒズ・シンコペイターズとはクリフ・ジャクスンのバンドとある。まあもっともGoogleで検索すれば簡単にわかることですが。
現在彼のCDや単独盤LPでは彼のバンドはほとんどクレイジー・キャッツ名義でリリースされているが、SPではこのマーヴィン・スモレフやタキシード・シンコペイターズの名前で出されていた。なぜかはよくわからないけど。
ジャクスンといえばピアノ・ソロにもいいのがあった。が、しかしそこまでカバーして聴いているのはよほどのスキモノということになるのかもしれない。彼のピアノ・ソロは『Midnight Piano』(CJM 26)で。


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