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Dec 08, 2004

そいなみ盤

 書評家、岡崎武志氏の著書『古本でお散歩』(ちくま文庫)の中に「そいなみ本」という言葉が出てくる。「ういえばざとなるとかなかつからない本」を略した造語で、以前はよく見かけたありふれた本だったのに、何年か経っていざ買おうと思うとどこにもないと、まあこういう意味である。
 う~ん、私なんか痛いほどよく分かってしまうんである。まあ、もっとも私の場合は本ではなく、レコード/CDであるのだが事情は同じ。いや、私に限らずレコードなんかをコレクトしている方ならそういう経験や「そいなみ盤」の2枚や3枚、必ずあると思う。
 しかし、先月ようやく「そいなみ盤」だった1枚を手に入れることができた。

The Peaceful Side Of Billy Strayhorn (Capitol Jazz)

billy_strayhorn.jpgz

 レアでも何でもないと思うんだけど。CDだし。けど、とことんなかったのである。いや実はあるところで発見したことがあるのだが、やはりレアなのか、50ドル以上の値段が付いていた。しかしアナログ盤ならともかく、まさかCD1枚にそんなには払えない。ちなみにこの盤のオリジナルはLPだが(これも見つかれば欲しいんだけど)、これがまたUnited Artists なもんだからまるで見ない。再発盤のSolid State盤なら2000円前後という投げやり価格でよく出てるが、それはいらない。
 ともあれこのCD、96年にリリースされたものなので、8年経ってようやくというわけだ。

 本盤は、ストレイホーンが映画音楽の制作のためフランスに滞在していた折りに映画プロデューサーであるアラン・ダグラスに口説かれて急遽録音といういきさつを持つ。収録曲はエリントン楽団でおなじみのものばかり。バックはベースもしくはストリングス・カルテットが付く程度のシンプルかつ理想的は構成で、全編ストレイホーンの耽美なピアノが静かに響き渡るとういう、美しいことこの上ない1枚。

 「見たとき買う」はレコード/CD買いの鉄則であるけれど、「また今度」も永遠の真理である。「そいなみ盤」はなくなることのない不滅盤なのである。

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