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Mar 27, 2005

ピーナッツ・ハッコー

ジャズ・インストゥルメンツの中で、ピアノと並んで最も好きなのがクラリネットだ。クラリネットなんていうと、(少なくとも)ジャズにおいては絶滅が危惧されるほど衰退している楽器だけれど、私が普段聴いている20~40年代のジャズ・シーンでは花形楽器だった。だから私の中では「衰退」なんて言葉とはまったく無縁の今も現役真っ只中の楽器というわけなのである。

peanuts_huckoさて、ピーナッツ・ハッコーというちょっと変わった名前のクラリネット奏者がいる。ベニー・グッドマン・タイプのスウィング・スタイルで、ジョー・マーサラ、ベニー・グッドマン、ジャック・ティーガーデンといったバンドを渡り歩き、70年代にはグレン・ミラー・オーケストラのリーダーとして来日もしている。
ハッコーのクラリネットは余計な装飾を一切排し、メロディをただ吹くだけ。あるのはスウィングのみという、ジャズがまだ難しいことを言わずに分かりやすい言葉で歌っていた良き時代のクラリネットだ。
「分かりやすい」というのは、一方で飽きやすいということでもあるけれど、ハッコーのクラはふとした拍子に口ずさんでしまうほど私の中に焼き付いている。飽きるということは、一人の人間の記憶の中に住み着いてしまうほどの力を持っているということの証でもあるのだ。

ジャケットを載せたタイムレス盤は、40年代半ばグレン・ミラー空軍バンド在籍時のパリ録音で、ジャンゴ・ラインハルトの名前も並んでいる。
Peanuts Hucko - Glenn Miller's G.I.'s in Paris 1945 (Timeless CBC1051)

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Mar 26, 2005

テイタム・ライヴほか

今年に入って3カ月。CDはそこそこ買ってはいるけれど、聴いてないのがほとんど。もちろん、このブログやホームページで取り上げているものは耳にしているが、それ以外はまったくと言っていいくらい聴いてない。イバって言うほどのことではないが。
それでは最近の試聴ノートを。

Art Tatum Live 1955-1956 Vol.8 (Storyville 101 8338)

tatum_vol8ストリーヴィルからのテイタムのライヴ音源シリーズも8枚目となった。9枚で完結ということらしいので、残すところあと1枚である。
私のCDラックにはそれまでの7枚がちゃんと並んでいるのだけれど、よくよく見てみたら聴いているのは3枚目まで。残りはシールドされたまんまだった(笑)。どうりで聴いた記憶がないはずだ。
順番どおりに聴かないと気分的にスッキリしないが、まあいいかと、間を飛ばしてこの8枚目のシールドを破った。
本盤はエヴェレット・バークスデイル、スラム・スチュワートを従えたテイタム・トリオのテレビ/ラジオのライブ音源が中心となっている(ソロは少し)。バークデイルらとの正規録音はキャピトルにあるのだが、どうでもいいようなギター・ソロが何とも退屈な代物で、このトリオについてはあまりいいイメージがない。しかし、このライヴ録音は別なのである。
この音源はLP時代にはジャズ・アンソロジー盤で聴けたもので、ここでのバークスデイルは実にのびのびと、そしてくつろぎに満ちたプレイを展開しているのである。考えてみればキャピトルの方は、巨匠を前に萎縮してしまったのかもしれないな。
しかしだからと言って、だれにでも薦められる盤ではない。あくまでコアなテイタム・ファン向けである。

Esther Haynes (Res-O Records)

haynes少し前に紹介したロイヤル・ガーデン・トリオなどと一緒にCD BABYで買ったもの。
エスター・ヘインズはバンジョー兼ヴォーカリストで歌はコケティッシュ、と言ってもわざとらしさはなく、むしろまっすぐな歌に好感が持てる。
内容だが、今様のホット・ジャズ・サウンドによる戦前ブルースやオールド・ジャズのカヴァー集といった趣。リル・グリーンで有名な"Why Don't You Do Right?"なんて、かなり意識して似せているところが楽しい。
選曲の趣味の良さも光る一枚。試聴可能。百聞は一聴にしかず。

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Mar 17, 2005

柳よ泣いておくれ

sweetsカウント・ベイシー・オーケストラのスター・プレイヤーだったハリー“スウィーツ”エディスンのこの1枚となれば、ヴァーヴ盤 "Sweets"というのが衆目の一致するところだろう。「スウィーツ」の愛称のとおり、甘く美しく繊細なトーンによってジャズ・ファンの心に深く刻まれている1枚である。
昨年その1枚が24bitデジタル・リマスタリング盤で登場した。しかも音を良くしたぐらいでは飽き足らなかったか、紙ジャケで、と相成ったもんだからついフラフラッと買ってしまったのである。
いちいち書かなくても先刻承知のことと思うが、「スウィーツ」のあだ名を付けたのは、レスター・ヤングである。
さて、甘く切なさを誘うナンバーはエディスンの得意とするところだが、このアルバムはさらに情熱のテナー、ベン・ウェブスターが参加している。で、この二人が寄り添いながら語り出すもんだからたまらない。中でも"Willow Weep For Me"(柳よ泣いておくれ)でのくつろぎと歌心にあふれたベンのテナーと言ったら!

ところで「柳よ泣いておくれ」と言えば、思い出すのはやはりビリー・ホリデイだろう。あれもヴァーヴ盤だった。
でも私はヴァーヴのビリーはダメだ。コアなファンはあれさえも「晩年の枯れ具合もまた」とか、「人生の悲哀・真実が伝わる」などと言って褒めそやしたりするけれど、私には老婆が何かぶつぶつ言っているようにしか聞こえない。私が好きなビリーはブランズウィックのビリーなのである。若くハツラツとしていて、もちろんかげりはあるが、生気がみなぎっていたあの頃だ。ビリーだってきっと、ブランズウィックやコモドアの頃の自分を聴いてほしいと思っているに違いないはずなのだ。
だから私は「昔はよかったね」とつぶやきながら、ひたすら彼女のブランズウィック録音を聴くのである。

エディスンのCDに話が戻るけど"Love Is Here To Say"、最高です。

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Mar 15, 2005

Treniers

クロードとクリフォードの双子のトレニアー兄弟をフロント・ヴォーカルに立てた半狂乱のジャンプ・バンド、それがトレニアーズである。ちょっと誤解を生む書き方かもしれないが、まあいいか。
彼らのCDは数種類出ていたのだが、現在そのことごとくが廃盤の憂き目にあっている。しかし幸いにも彼らのベストとされる50年代初めから半ばのオーケー録音は、昨年コレクタブルズから"They Rock! They Roll! They Swing!"のタイトルでリリースされたので、興味のある方は今のうちに押さえておかれるといいだろう。
で今回、ナイト・トレインからHermitageの2枚のレアなLPを2in1にしたCDが出た。

The Fabulous Treniers: Hoss Allen Sessions (Night Train NTI CD 7120)

treniersHermitageは伝説のDJと言われるホス・アレンのレーベルで、本CDは彼が持つ63~64年に録られたトレニアーズの珍しいライヴ音源をメインに、若干のスタジオ・トラックを含むといった内容。
「半狂乱バンド」なんて書いたけど、以外と節度と秩序を感じさせる演奏だし、最盛期は過ぎているとは言ったものの、結構楽しめる内容だった。しかしこういったものは体調を万全にして聴く音楽だ。今の状態では今ひとつ入り込むことができない。もうちょっと気力を回復させてから、再チャレンジだな。

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Mar 06, 2005

RCA "X" - VOL.2

最近どうも気分がすぐれない。仕事が忙しくてCDがゆっくり聴けないとか、体調が今一つパッとしない(インフルエンザ菌は確実に体内に潜伏しているはず)という理由もあるのかもしれないが、先日「そーか!」と気が付いた。ここ2ヵ月ほどレコードを買ってないんだ、私(笑)。
こういうときはレコードを買うに限る。CDではいけない。なぜならCDは聴かなくてはいけないという気分になるから(笑)。憂さを晴らすには聴かなくても心の痛まないLPなのである。

そうとわかれば、早速馴染みのレコード店に電話。運良く前から欲しかったものが数枚入っているということで、すべて引き取ることに。で、今回その中にRCAの"X"が2枚含まれていた。というわけで、好評をいただいているXシリーズ第2弾(正確には第3弾)を。

Ridin' With Red Allen (RCA "X" LVA-3033) [10"LP]

red_allenサッチモの後塵を拝したとのイメージが付きまとうレッド・アレンだが、このヴィクター音源を久しぶりに聴いてみて、やはりサッチモの影をぬぐい去ることはできないものの、そのハツラツとしたプレイに心が少し晴れやかな気分になった。悪くないじゃないか、アレン。
ここではルイ・ラッセル楽団での同僚でもあるJ.C.ヒギンバサム、アルバート・ニコラスらがバックを付けている。またヴィクトリア・スピヴィのヴォーカル付きもありと、編集のうまさも光る、なかなかの1枚。
さて、今までの先入観を詫びることとして、もう1回両面聴くか。


McKinney's Cotton Pickers Vol.1 (RCA "X" LVA 3031) [10"LP]

mckinneys1マッキニーズ・コットン・ピッカーズは仏RCAのジャズ・トリビューン2枚組3セット(LP計6枚)を持っているので、中身としてはすべてダブリになるのだが、コンプリート集というのは聴く前から食傷してしまって、得てして触手が伸びないものである。しかしこれは両面で8曲、時間にして30分弱といったところ。ちょうどいい頃合である。
ところでマッキニーズのこのX盤は「VOL.1」となっているのだが、果たして続編の「VOL.2」が存在するのかどうかが分からない。VOL.2のレコード番号は、LVA3042だが、実際には発売されていなかもしれないのである。どなたかご存じの方がおられましたらご教示のほどを。
それにしてもドン・レッドマンである。詰まるところ、マッキニーズは彼の才気あふれるアレンジに集約される。ホーン・セクションの巧みさ。楽曲は輝きを増すばかりである。う~む、思わず引き込まれてしまうな。グレート!

レコードもたまには聴いてみるもんだなあ(笑)。

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