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Oct 08, 2005

ブラック・バタフライ

cootie

初期エリントン・サウンドはバッバー・マイレーのプランジャー・ミュートによるトランペットなしには成立し得なかったわけだが、そのバッバー退団の後を見事に埋めたのがクーティ・ウィリアムスだった。彼はバッバーのグロウル・サウンドを(彼ほど泥臭くはなかったが)再現し、その後エリントン・オーケストラが黄金時代を築くにあたっては重要な一翼を担った、まさに名手と呼ぶに相応しいプレイヤーだった。

さて、クーティといえば「ブラック・バタフライ」なのである。デューク・エリントンが作曲した中では五指に入るフェイヴァリット曲で、美しいことこの上ない1曲。美しさでいえば「チェルシー・ブリッジ」に並ぶが、こちらはさらに胸を突くはかなげなメロディをクーティのトランペットが切々とつづっていくという、哀切極まりない曲想。
しかし、これはエリントン・オーケストラのものを言っているのではない。本曲のオリジナル・バージョンは36年、ローレンス・ブラウンのトロンボーンが全面的にフィーチュアされたものだった。ブラウンのソロはそれなりの雰囲気を醸し出してはいるが、しかし全体として見れば正直佳作の域を出るものではなかった。
それが40年、クーティのコンボ、ラグ・カッターズにより、黒い蝶は美しくもはかなく舞ったのである。ちなみにラグ・カッターズというのは、名義上はクーティのバンドであるが、実質的にはエリントン・オーケストラのピックアップ・コンボで、仕切りは当然エリントンになる。ただ、この曲のピアノはエリントンに変わってビリー・ストレイホーンが担当。彼の耽美なピアノがそこかしこに輝きを与えている。

Taxには画像左以外にクーティのアルバムがもう1枚ある("The Boys From Harlem")。しかし最初は2枚あるとは知らずに「ブラック・バタフライ」はそっちに入っているのだろうと思い込んで、もう1枚の"The Boys..."方を買ってしまったのである。もちろんハズレ。すぐ後にもう1枚出ていることを知ったが、何となく買わずにそのままになってしまっていた。Tax盤は買おうと思えばいつでも買えるし、取りあえずCDでほとんどがカバーできていたので、再チャレンジするほどの購入意欲も沸かなかったのだ。まあ、だから今回買ったのは「ちょっとした気の迷い」なのだけれど、でも改めて聴いてみてやっぱり買って良かったなと思っている。

*画像左より
Cootie And His Rug Cutters 1937/40 (Tax m-8011)
Duke Ellington - Cotton Club Stomp (CBS/Sony 38AP 2993-4)
 "Black Butterfly" 1936 original version 収録

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Comments

いやーかなり興味をそそります。
両方とも見たときもないですが、聴いてみたいです。

ドン・レッドマンに続き、これもレコードですね。
下にレーベル等も掲示してあるのもとても嬉しいです。

ギターはやはりテディ・バンでしょうか。
タイニー・グライムスにも憧れます。

Posted by: 佐藤 "the hipstar" 秀樹 | Oct 09, 2005 at 08:10

LPにしろCDにしろ、聴きたいものが際限なく出てきて
ホント、キリがないですよね。
まあ、私と違って先はまだまだ長いんですから、
ボチボチと制覇していってください。

タイニー・グライムス、4弦ギターっすよ!
夢は広がりますね!

Posted by: 山崎 | Oct 09, 2005 at 23:06

先日も29年のエリントンを中古(CD)ですがネ、
ウウ~ん、やっぱ初期の音が好きです、
ライナーなんかには あのミュートが黒人の
苦悩や悲しみなんてフレーズ出てくるんですが
僕には全然そんな風には聴こえません
(そんなスケールの小さな音や無いですよネ)

一糸乱れず流れるホーンアンサンブルに乗って
繰り出される極上な黒い音の数々にフレッド・ガイさんの
右手一本だけの強烈なリズム感、
ま、魅力のほんの一部ですが こういう音楽を聴ける事に
感謝したい気持ちになります、

少しでも安いモノをと(エディ・ラングさんは)一ヶ月待ち!
テディ・バンは(ネットで探すも)めっちゃ高い!
(カップスのエディ藩とは全然関係無かった)
シドニー・ベシェさんのリーダー・アルバムで聴こうかな
(と思っております)

中古買い漁り活動を一時停止して
的を絞ろうかな と、現在 クレジット
カード申請中です(通るかな?)

Posted by: ドクター | Oct 10, 2005 at 11:12

確かに「苦悩」や「悲しみ」っていう表現はもう手アカまみれというか、
ちょっと陳腐かも。
ジャングル・スタイルと言われた初期のエリントン・サウンドが持つ
エロティックあるいはエキゾティックなムードは、コットン・クラブ
などの高級クラブのショー中で半裸のダンサーの登場を盛り上げると
いった役割も果たしたわけです。
しかしその一方でエリントンの素晴らしさは、それらの音楽が
十分に鑑賞に堪え得るものであったと。

テディ・バン(Teddy Bunn)、そんなに高いですか?
輸入盤でも?
ベシェのブルー・ノート録音はもちろんグレート(!)です。
テディ・バンのギターもバッチリで、
「持ってな恥!」ってやつです。

Posted by: 山崎 | Oct 10, 2005 at 13:16

あの・・・・音楽業界も陛下のブログ見ながら価格を吊り上げてンでしょうか?

インポートで「1929-1940」在庫が無いのか ユーズド価格ってのが7千6百円ほど
国内Pヴァインから出てるのが5しぇん8百円から・・・・
僕のモットぉー(ご存知ですネ)小さな出費 大きな感動(ですヨ)
シドニー・ベシェ「ポート・オブ・ハーレム・ジャズメン」なんて安易に考えてたけど
(コレも入手難しそう)
ジョニー・ドッズ辺りを調べてみます 当分「持ってな恥!」状態で生き恥さらしながら草の根作戦遂行!
(陛下 業界と連携プレイされてる?)笑。

Posted by: ドクター | Oct 10, 2005 at 19:00

廃盤CDも、ものによっては結構な値が付くようで、
やはり基本は「あるうちに」ですね。
しかし。テディ・バンの輸入盤の方はまだ廃盤になってない
ようですが。
試しに米アマゾンをみたら、新品が普通に買えるみたいです。
ちなみにポート・オブ・ハーレム・ジャズメンも
27ドルですが、中古盤が出てました。

ジョニー・ドッズももちろん必携ですね。
ところでテディ・バンといえばスピリッツ・オブ・リズムが
基本ですが、これはお持ちだったしょうか?

Posted by: 山崎 | Oct 11, 2005 at 00:03

これはお持ちだったしょうか?
>は?あのお名前知ったのも 先日ココで初めての事やったンでしすが・・・・・

(そのワリにエライ 喋タンかましとるやんケ このオッサン!)
ま、ま お怒りもごもっともですが「持ってな恥!」っちゅうよりも「知ってな恥」の次元、

ですから陛下 人生の悦楽音源を一人占め状態から開放してくだされィ!
手段は執筆活動にて御本というカタチ
タイトルはもちろん「持ってな恥!」
サブタイトルは「有る時 買っとけ!」
(マジに切望 致します)

陛下に海外出張までしていただき恐縮です
(やっぱクレジット・カード要りますネ)
まずは その辺からとりかかりマス。

Posted by: ドクター | Oct 11, 2005 at 15:37

前にも言いましたが、私、執筆活動なんてしておりませんから。
本なんて、そんな無茶言ってはいけません。

まあ、確かにこのあたりの情報源というのは少なくて
何から買って聴いてよいのやら途方に暮れてしまったりも
するわけですが、しかしドクター殿が挙げられている名前や
音源がことごとくツボを突いているあたりはサスガ!
私の出る幕はないかと。

Posted by: 山崎 | Oct 11, 2005 at 23:27

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