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Oct 20, 2005

バンジョー夜話~その三

guesnon

ローレンス・マレロといえば「世界は日の出を待っている」である。192小節、6コーラスに及ぶバンジョー・ソロは、ジャズ・バンジョー不朽の名演として知られるばかりでなく、本曲を収録したジョージ・ルイスの"Jass At Ohio Union"はこの1曲によりコレクターズ・アイテムとして存在しているわけである。
しかし、名演ではあるがあれを圧巻と言って褒めそやせるほど私はまだ人間ができていない。ハリー・リーサーやエディ・ピーボディを心棒する身としては、ここでのマレロのソロは単にコードをジャカジャカ演ってるだけで大して芸のあるソロとも思えない。6コーラスも弾かずとも2コーラスもあれば十分という内容である。
マレロのこのソロが名演とされるゆえんは、演奏テクニックよりもライヴ・パフォーマンスとしてバンジョーを延々とかき鳴らし続けたその姿がエキサイティングなものであったというところであろう。

ところでローレンス・マレロの兄のジョン・マレロもまたバンジョー・プレイヤーであった。で、その兄のジョンにバンジョーの手ほどきを受けたのがニューオーリンズ生まれのクリオール・バンジョー・プレイヤー、ジョージ・ゲスノンである。
ゲスノンはキッド・トーマスやジョージ・ルイスらとの録音もあるが、彼ならではの魅力にバンジョーの弾き語りがある。歌もバンジョーも能弁を振るうタイプではない。とつとつと語るといった感じのものではあるが、これが実に滋味深い。戦前のカントリー・ブルースマンに相通じる味わいと言っていい。
画像右のLPは59年に白人のジャズマニアに再発見されての録音集で、全曲バンジョーまたはギターによる弾き語りとなっている。ゲスノンの魅力が堪能できる貴重な1枚である。滅多に見ないレコードではあるが、本盤の内容にさらに大幅に曲数をプラスしたCDがアメリカン・ミュージックより出ているので興味のある方はそちらを。

さて、上記のLPは「再発見後の」というくらいのもので、ゲスノンにはそれ以前(戦前)にも録音がある。こちらはジミー・シャーリー(g)、アート・ホーディス(p)、ポップス・フォスター(b)といった腕利きのジャズメンがバックに付き、あか抜けた雰囲気のジャズ・ブルースといった趣。どれもブルース・ファンに十分アピールする内容だが、中でもベッシー・スミスの“Nobody Knows You When You're Down And Out”と似た曲調を持つ“Goodbye, Good Luck To You”に漂うわびしげな感じ。しみじみするなあ。
ちなみに同曲は36年にリトル・ブラザー・モンゴメリーとの録音もある。さらには前述のLPでも演っているのだが、恐らく彼のお気に入りであったのだろう。これら戦前録音はすべてドキュメントのCDで聴くことができる。
しかしゲスノンである。名は体を表すか。いや、最後に余計なことを言った。

*画像左より
George Lewis - Jass At Ohio Union (Disc Jockey DJL-100)
George Guesnon - The Creole Blues (Jazzology JCE-11)
V.A. - Jazzin' The Blues Vol.2 (Document DOCD-5468)

*文中で触れたリトル・ブラザー・モンゴメリーとの録音は以下のCDで。
Little Brother Montgomery - 1930-1954 (Document BDCD-6034)

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Comments

お久しぶりです。ローレンス・マレロのバンジョー・ソロ、まったく同感でございます。あの国内盤のボックス・セット、場所がかさばるので処分したいと思いつつも30年同居してる。

Posted by: つっち~ | Oct 21, 2005 at 07:57

私もお久しぶりです。
バンジョーって楽器は、どうなんでしょうね?
ベラフレックみたいに、超絶テクニックで音をエフェクトしてフュージョンとかクラシックみたいなことをやられても、「それならシンセギターでやれや」と思えてしまうし、上記のコメントのようにコードカッティングで6コーラスもしんどいし(笑)高速フォギーマウンテンみたいなソロが一番似合うんでしょうか?

追伸:いつも、素敵なジャケット!

Posted by: ち~旦 | Oct 21, 2005 at 10:43

> つっち~さん

マレロのソロについては、最初はいくら何でもこれは
という記述もあったのですが、さすがにまずいなと思って
削りました、三行ほど(苦笑)。
それでも苦情が来やしないかとビクビクしていたのですが、
何でだか小心者のくせにこういうことを書きたがるんです、私ってば。
しかし、御大も同感とあっては十人力! 同罪ですね(笑)。

> ち~旦さん

私、そのベラフレックという人を聴いたことがないんです(苦笑)。
バンジョーっていうと、一般的にはカントリーやブルーグラスの
あの「ニータカ、ニータカ、ニータカ」って弾くイメージ(通じるか?)
が強くて、まさに「フォギーマウンテン」なんか
バンジョー以外には考えられないって曲ですよね。
しかし以前にも申しましたが、私は偏屈なのであえてジャズ・
バンジョーなんていうキワモノ系を紹介しているというわけです。

Posted by: 山崎 | Oct 21, 2005 at 11:34

ジョージ・ゲーノンは私も大好きなバンジョー/ギター奏者です。
ジミー・シャーリー(g)、アート・ホーディス(p)、ポップス・フォスター(b)等の録音は、ニューヨークのLissenレーベルからSP盤としても発売されました。その時はCreole Gaynoという名前でしたが、唄を聴くと一発でゲーノンと分かります。
次回はどんな人物を取り上げるのか、いつも楽しみにしています。

Posted by: 瀬谷 | Oct 21, 2005 at 15:39

瀬谷さんの名前を見たとき、とうとう来るべきものが
来たかとギョッとしましたが、どうやら苦情ではないようで
ホッとしました(笑)。

ほとんど初めましてに近かったかと思いますが、
今後ともごひいきによろしくお願いします。

Posted by: 山崎 | Oct 21, 2005 at 20:25

「Jass At Ohio Union」?何故か僕も持ってるンですが・・・(聴き返します)
若いインテリ集団が熱狂していく様子、それに刺激されてか演奏も段々アツっぽくなっていきますネ
(下手なロック・コンサートよりよっぽどリアリティある)、
「Nobody Knows ・・・・」はシドニー・ベシェさんも・・・・・(入荷スました)イイですねェ~!

Posted by: ドクター | Oct 21, 2005 at 22:18

ブルーノートのベシェ到着ですか。
しかし「ノバディ~」が収録されているということは
ポート・オブ・ハーレム・ジャズメンではない?
で、ブルーノートもいいですが、ベシェはやっぱり
ブルーバードが最高ですよ(笑)。

オハイオ・ユニオンは聴衆の熱狂とは裏腹に演奏自体は
大したことないというのが、私の偽らざる感想です。

Posted by: 山崎 | Oct 21, 2005 at 23:25

え、とベシェさんは「ブルーノートイヤーズ」っちゅうヤツです、
で、ブルーバード?(それを先に言って欲しかったような・・・・)
あ、それから「スピリッツ・オブ・リズム」も入荷してあのスピードに悶絶しとります
(ありがとうゴザイマシタ)
で、本日も休日出勤!ストレスが溜まらぬよう仕事帰りに500~2000円のモノ
買い漁ってきました(中味悪ケりゃ)またストレス溜まるナ。

Posted by: ドクター | Oct 22, 2005 at 20:53

ベシェは一番肝心なのがニューオーリンズ・フィートウォーマーズです
(ブルーバードと書きましたがヴィクターですね。すんません)。
あとはクラレンス・ウィリアムス、サッチモらとのブルー・ファイヴ。
これも必聴です。
それからスピリッツ、気に入られたようで良かったです。
こちらは方は、次はキャッツ&ザ・フィドルになります。
ホント、キリがない…。

レコ漁り、羨ましいなあ。私は懐さみし秋の空、です。

Posted by: 山崎 | Oct 23, 2005 at 01:01

先日、吾妻さんとライブ後よっぱらい状態で、この手の話をすることが出来、長年の疑問などがある程度氷解しました。内容的にお互い本当に嬉しいので目が垂れます。

やはりカバーや替え歌は、ラッキーミリンダー、スキーツトルバート、ボブハワード、フロイドディクソン、アーリーカリプソなどが好きだけあって引っ張ってくる所が違います。でも、彼が教えてくれた京都にあるこの手に強いレコ屋さんがヨッパーだったせいか、よく分かりませんでした、聞いた事ありますか?CLASSICS盤とかBLUE MOON盤が異様に揃っているとか(笑)アマゾンで見ると、海外価格は法外なんですよね。

Posted by: ち~旦 | Oct 23, 2005 at 09:18

聞いたことがある、なんてもんじゃありません。じゃ、どんなもんだ?と
聞かれても困るけど。当記事のコメント中、一番上のつっち~さんの
お店、京都のホット・ディスクです。
私のHPでもご協力いただいております。
ここ↓をクリック。
http://homepage3.nifty.com/bjj/hotdisc.html
bsrの吾妻さんのコラムでも触れていたと思いますが、
店の名前は書いてなかったかなぁ。
私もClassics盤はほとんどここで買ってます。

御大、まだまだ宣伝不足かも。

Posted by: 山崎 | Oct 23, 2005 at 10:51

はじめまして!
突然の書き込み失礼いたします。

この度、ブログのランキングサイトがオープンいたしました。
  【ブログランキング Bloking】http://bloking.jp
まだオープンしたてのサイトですが、貴サイトのアクセスアップに
貢献できればと思っております。

誠に勝手ではございますが、是非とも参加していただければ幸いです。
末筆ながら、貴サイトの益々のご発展をお祈りしております。

Posted by: Bloking | Oct 27, 2005 at 16:32

いやいや、そうでしたか。勉強不足で失礼致しました、早速カタログを頂きたくメールさせていただきます!

Posted by: ち~旦 | Oct 30, 2005 at 22:17

客筋が非常に特殊で(笑)、これを買う人間はいないだろうと
思って油断していると売れ切れていたりして…。

リストはボリュームたっぷりなので見ているだけも飽きませんよ。
あ、もちろん注文されればもっと結構ということで(一応、フォロー)。

Posted by: 山崎 | Oct 31, 2005 at 09:56

こんにちわ!通りすがりの者です。ベラ・フレック・スタイルではなく、いわゆるハリー・レッサーのようなジャズバンジョーについて調べていたら貴ブログにたどり着きました。

ローレンス・マレロのくだんの名演が収まったCDは1CDで発売されているのでしょうか?
もし御存知でしたら、教えて頂けたら幸いです。

Posted by: TAN | Feb 24, 2009 at 20:46

はじめまして。
早速ですがお尋ねの件について。
1枚もののCDということですが、多分ないんじゃないかと思います。
もしかすると、なにかのコンピに入っていたりするのかもしれませんが、
よく分かりません。
おそらく既にアマゾン等で検索済みのこととは思いますが、
マレロのこの演奏をということでしたら、2枚組ではありますが
やはり“Jazz At Ohio Union”になろうかと。
ただし2種類あるCDはどちらも廃盤のようです(中古は有り)。

あまり力になれず、すみません。

Posted by: (や) | Feb 25, 2009 at 13:17

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