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Jan 22, 2006

バンジョー夜話~その四

ragtime_banjo

初代ジャズ王と言われるバディ・ボールデンは残念ながら録音が残されておらず、彼のコルネットは伝説として語られるのみだが、しかし初代のバンジョー・キングと言われるヴェス・L・オスマンはその音を聴くことができるのである。
オスマンはレコード産業の黎明期である19世紀末から録音を行っており、ラグタイムやマーチを多く吹き込んだ、当時人気のプレイヤーであった。
100年近くも前のプレイヤーなわけだが、侮ってはいけない。オスマンの音楽は前述のとおり主にラグタイムではあるが、オールド・ジャズ・ファンを何かこう惹きつけてやまない魅力が厳然としてあるのだ。画像にあるヤズー盤が何よりの証拠。ニック・パールズは彼の音楽に惹かれ、1枚のLPを作っているのである。
ところでもう一人、オスマンと同時代に活躍したバンジョー・プレイヤーにフレッド・ヴァン・エプスがいる。名前からピンとくる方もいるかもしれないが、あのギタリストのジョージ・ヴァン・エプスの父親にあたる。エプスはオスマンのバンジョーを聴いてバンジョー・プレイヤーを志したという人で、オスマン同様、テクニック的にも申し分のないラグタイム・バンジョー・プレイヤーである。実は先のヤズー盤は、オスマンとこのエプスのカップリング盤となっている。つまりこの両人、ジャズ・バンジョーを聴いていこうとするのであれば避けて通ることのできない人物というわけなのである。
とは言ったものの、ヤズー盤はCD化されていない。しかしご安心を。戦前のポピュラー・ミュージックを実にコアに復刻し続けているレーベルに米国アーキオフォンがある。そこの1枚、 "Real Ragtime"に二人の録音が数曲収められているのである。2年ほど前だったか、ホット・ディスクから購入して一時期ハマりにハマった。同レーベルは内容も音質も申し分なく素晴らしく、ここはLPを探すよりも、アーキオフォン盤をチョイスした方がいいだろう。
最後に一応書いておくと、この二人に強い影響を受けたのがハリー・リーサーである。

*画像左より
Fred Van Eps And Vess L. Ossman - Kings Of The Ragtime Banjo (Yazoo L-1044)
V.A. - Real Ragtime (Archeophone 1001)

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Jan 15, 2006

Adrian Rollini

昨年ほぼ同じ時期にエイドリアン・ロリーニ関連のCDが2枚リリースされた。どちらも2枚組とかなりの量になるので聴くのをためらっていたら、案の定未聴のまま年を越してしまった。しかし、いつまでも放っておくわけにもいかず、意を決して一気に4枚聴いたのだが、途中で寝てしまったせいもあり、せっかくの休みがロリーニで丸つぶれになってしまった。とほほ。せめてブログにでも書き残しておくか、というわけで。

Adrian Rollini 1929-1934 (Jazz Oracle BDW8050)

adrian_rolliniロリーニという人はとにかく録音量が多いのである。レトリーヴァルからは34~38年の吹き込みを録音順に集めたCDが2枚出ているが、今回のジャズ・オラクル盤はそれ以前のキャリアである1929~34年をまとめたもので、これまた2枚組というヴォリューム。しかしロリーニについてはそんなに出してどーする、なんてブツブツ言いながらも結構買ってるな、私。
さて、10代の頃より音楽に関して天才的な才能を発揮してきたロリーニだが、彼のバス・サックスが放つその個性あるサウンドとセンスの良さは、バンドの中でひときわ光る存在感を示している。さすが神童と言われただけのことはあるというわけだ。
本盤の収録曲はどれも一定の水準を保っているが、中でもやはりアンド・ヒズ・オーケストラ名義のものが素晴らしい。メンバーにトミー・ドーシー、ジミー・ドーシー、ディック・マクドノウ、ジョー・ヴェヌーティ、あるいはバニー・ベリガン、ベニー・グッドマン、アーティ・ショウといった一流プレイヤーが常に名を連ねており、そのアンサンブルの見事さは当然ながら他の白人系スウィート・バンドとは明らかに一線を画すものである。
ちょっと余談になるが、収録曲の中で目を引いたのが"Coffee In The Morning"。2001年にTOMから"From Honolulu To Hollywood"が出たとき、ジム・アンド・ボブのヴァージョンのこの曲が我々好き者の間で随分と話題になったものだ。ここでは軽いテンポで演奏されており、残念ながらかつての感動を抱くことはないが、懐かしく思われる方もいるのではないか。それから最後の最後に出てくるエラ・ローガン。やはり何度聴いてもいいなあ。カール・クレスのギターもスウィングしていて実にグッド!

The University Six 1925-1927 (Retrieval RTR 79047)

university_sixユニヴァーシティ・シックスというのは、カリフォルニア・ランブラーズがコロンビアの傍系レーベルであるハーモニーに吹き込む際に使った名前で、実態はカリフォルニア・ランブラーズとなる。本盤はリトル・ランブラーズ名義も若干含んでいるが、いずれにしてもロリーニが絡んでいたバンドということには違いない。1925~27年録音というわけで、先のジャズ・オラクル盤のさらに前のキャリアということになる。
正直言うと、オラクル盤よりこちらの方が楽しめた。人によってはかなり古くさく感じるかもしれないが、詰まるところオールド・ジャズの良さっていうのはこういうところにあるのだ。もちろん、ロリーニが絡んでいるわけであるから、通り一遍なものでないことは確かだが。

※エイドリアン・ロリーニはホームページの方でもレトリーヴァル盤を取り上げているので、興味のある方はそちらもご参照ください。

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Jan 13, 2006

Mellow Cats 'N' Kittens

今月は珍しく締め切りよりも早く脱稿。やれやれだ。いつもは締め切りギリギリなんだけど、ともかくこれでゆっくりと溜まりに溜まったCDを聴くことができる。
そういえば、以前メールで「次のbsrでは何をレヴューするんですか?」との質問を受けたことがあるのだけれど、やはりあれは書く人間がディスクを選定してると思われているのだろうか。
確かに著名なライターの方であれば、「今回はぜひこれを」とか言って自ら推薦するCDについて書かれるんだろうけど、それ以外(少なくとも私など)はいわゆる「あてがいぶち」なのである。
編集部での私のテリトリーは一応ジャンプ/ジャイヴ、戦前ブルース/ジャズ、それから女性シンガーということになっているようで、その手のCDが取り上げられる際に(必ずしもじゃないが)お話をいただくという寸法なのである。というわけで、今回も編集部がピックアップしたものです。今回は前回の反省に立って、わりと好意的に書いてます(笑)。発売は来月25日。本屋で見かけましたら立ち読みでも。

さて、こんな話を長々書いても面白くないだろうからこの辺で切り上げて、年末年始とよく聴いていたCDを1枚。

V.A. - More Mellow Cats 'N' Kittens (Ace CDCHD 1087)

catsnkittensおととしに出た第1集の続編となる。その第1集はbsrの2004年の年間ベスト3に挙げたのだけれど、個人的趣向はともかくジャンプ/ジャイヴ・ファンに広くウケた1枚ではないかと確信している。で、今回も前回同様、期待を裏切らない音源多数となっている。
まずは第1集に引き続きスリー・ビッツ・オブ・リズム、タイニー・ウェッブの収録が嬉しい。
そして今回の大収穫の一つがNoc-Tunes。ギターをメインに据えたロッキン・ジャンピンなコンボだが、さらにこのバンドはスティール・ギターが絡み、たまらん効果を上げている。
それからもう一つの目玉がキティ・スティーヴンスン(またはスティーヴンス)の初リイシュー4曲。彼女はその昔Pヴァインのチャンス・シリーズ(LP)の1枚に収録され、ライナーを書いていた日暮さんが絶賛していた。あか抜けないヴォーカルだが、それが却って場末の香り漂わせるといったシンガーだった。今回の4曲はすべてトッド・ローズ楽団のもの。どれも彼女のヴォーカルがうまくマッチして雰囲気のあるジャンプ・ナンバーとなっている。
しかしこれはぜひシリーズ化してまた続編を望みたいところ。

最後にご要望にお応えしてスキャットマン・クロザーズのLPを。
Mさん、これでいいっすか!

scatman_lps

Left: Rock 'N Roll With "Scatman" (Tops L1511)
Right: 4 A.M. (20th Fox 1009)

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Jan 08, 2006

トッド・ローズ/スウェットマン

todd_sweatman

お寒~ございます。新年第一回目のエントリーとなるわけですが、特にこれといって書くこともございません。しかしそんなことを言っているとあっという間に2月、ということにもなりかねない。とりあえず何かを、と思っていたところ京都のT山御大からメールが。
で、その中にクラシックスのトッド・ローズ第三集について、4曲目のラヴァーン・ベイカーのヴォーカルがすごいと。いつも冷静な(?)御大がやや興奮気味に書かれているのだけれど、何でも今年のジャイヴ大賞間違いなしと大絶賛なのである。
こういう情報は大変にありがたい。こんなふうに言ってもらえれば、シールドを破って聴いてみるかという気分になる(笑)。早速積み上げているCDの中からトッド・ローズを探し当てたが、ラヴァーン・ベイカーのクラシックス盤も一緒に出てきた。見てみると、ラヴァーンの方にも同じ曲が入っている。こちらはシールドを切っているので、とりあえずこれをトレーに。ところでラヴァーンのこのCDは一度聴いている。いや、もっと古い話をすれば該当の曲はトッド・ローズのジュークボックス・リルのLPにも収録されていた。しかしどんな曲だったかとんと失念している。まあ実を言えば、ラヴァーンはそれほどのめり込んだシンガーではないからなのだが。
さて聴いてみると、ほぉ、なるほど! う~む、これは女レオ・ワトスンといった風情。御大、了解しました。

話は全然変わるが、正月に入ってウィルバー・スウェットマンのジャズ・オラクル盤を聴いていたのだが、26年録音の2曲が実にすばらしい。スウェットマンのやや哀愁を含んだノヴェルティチックなクラもいいけれど、このバンジョーのHarry Batcheldor の味のあるサポートぶり。こいつは聴かせるなあ。しかもこの2曲はトリオによる録音であるため各楽器の張り出し方が明快で、ダイレクトに音が伝わってくるのだ。
名前の通ったプレイヤーの録音もそれはそれでいいが、リーダー録音を持たない、こういう隠れた名手を探し当てた時の喜びっていうのもまた格別のものであるなあ。

以上、とりとめのない話で申し訳ない。ではまた次回。

Todd Rhodes - 1952-1954 (Classics 5159)
Wilbur Sweatman - 1916-1935 (Jazz Oracle BDW8046)

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