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Feb 19, 2006

Janet Klein

ジャネット・クラインは私が新譜を追いかけている非常に数少ないアーティストの一人というわけで早速購入。

Janet Klein - Oh! (Buffalo Records LBCY-312)

janet_klein_ohまだザッと聴いただけではあるけれど、前々作、前作そして今回と、ここ3作の中では一番出来がいい。その理由は簡単。収録曲、つまり選曲がいいんだな。
オールド・ジャズあるいは戦前ポピュラー・ミュージックの隠れた佳曲を拾ってきてそれをノスタルジックな雰囲気満々に聴かせる(いや、演じてみせるという方が近いか)というのが彼女のスタイルなわけだが、そうした終始一貫変わらぬ路線で作品を出し続ける中でアルバムの成否を分けるカギは「選曲」しかない。要するにどれだけうまい選曲でリスナーの琴線をヒットするか、これしかないのである。
その選曲について、本作でアネット・ハンショウの曲を取り上げている。以前も彼女の曲を取り上げていたが、ジャネットのヴォーカル・スタイルは案外このアネット辺りに範をとっているのではないかと睨んでいるのだが、どうか。

さてところで今回3度目の来日を果たすということで、日本ではすっかりブレイクした感のあるジャネットであるわけだが、本国アメリカではどうなんだろうか。つまりその人気というか、あの独特のキャラがどんなふうに受け止められているのかってことなんだけど。
前々から感じていたことなんだが、全身から発せられるエキセントリックさといい、コスプレチックな風体といい、どうも野沢直子と重なって見えるんである、大和田バクって歌ってた。アメリカの野沢直子。気のせいか。ならいいんだけど。

※試聴はBUFFALO REOCRDSの以下のページで。
http://www.buffalo-records.com/buffalocds/index-bu.html

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Feb 12, 2006

ディッキー・ウェルズ

dicky_wels

昨年12月のエントリーでガットバケット・トロンボニスト、アイク・ロジャースを取り上げたが、拙ホームページの「ベスト5/2005」では図らずもジャイヴ博士の魚住さんが「ゲロトロ」と称して同じくロジャースそしてロイ・パーマーを挙げていた。実のところ、これはまったくの偶然であったわけだが、もしかするとこれが単なる偶然ではなく、今年ドロ臭系トロンボーンが流行する予兆であったりして。なわけないな。

ところで魚住さんのコメント中、気になったのがディッキー・ウェルズの名前だった。うーむ、いくらなんでもディッキー・ウェルズがガットバケットっていうのは…と普通は思うところだが、「セシル・スコットの~」と切り出すところが魚さんの鑑識眼の鋭いところなんだなぁ。
その魚さん言うところのセシル・スコットの録音だが、セシル・スコット&ヒズ・ブライト・ボーイズ名義のものを指す。彼らの録音は29年にブルーバードに残した4曲のみ。メンバーはウェルズのほかにビル・コールマン、フランキー・ニュートン、ドン・フライとマニアにはたまらんところが顔を並べている。
で、肝心のディッキー・ウェルズのガットバケットぶりだが、ギリギリのところで品位を残しているものの、その後のウェルズのトロンボーンからは想像できない泥臭さ、エグ味を出した演奏となっている。ただここではディッキーだけが突出してクサイというわけではない。セシル・スコットのバリサク(?)によるタンギングだって相当なものである。要するに全体としてグロウルなサウンドに統一してあるわけだが、この辺りのサウンド指向は初期のエリントンにも当てはまる。ブルース・フィーリングの発露、これが彼らのジャズなのである。

さて、ディッキー・ウェルズといえば昔から彼の代表的録音として挙げられるのが"Dicky Wells In Paris"である。これは37年、テディ・ヒル楽団のメンバーとして渡仏した際に録られたもので、ウェルズならではのあの「よく歌う」トロンボーンが全編に展開していると同時に、「ジャンゴ・ラインハルトの参加」がもう一つのウリとなっているアルバムである。
しかしそれにしてもだ。やはりジャンゴが加わったトラックを聴くと唸ってしまうのである。普通のギタリストはバッキングをピックでやる。音もそういう音である。しかしジャンゴのは違う。スコップなのである。まるでザック、ザックとスコップでトンネルでも掘っていくがごとき突撃的バッキング。おっと、今回の主役はジャンゴではなかった。
ウェルズは、この録音の翌年カウント・ベイシー楽団へ入団するのである。

セシル・スコットが収録された仏RCAのブラック&ホワイトの2枚組LP(画像左)は、セシルとロイドのスコット兄弟のほかにチャーリー・ジョンスンがカップリングされている。余談になるが、1920年代後半コットン・クラブのエリントン楽団に迫る人気を得ていたのがスモール・パラダイスというクラブを根城としていたこのチャーリー・ジョンスンであった。
彼についてはまたいずれ。

*画像左より
Charlie Johnson/Lloyd Scott/Cecil Scott (RCA 741 065/066)
Dicky Wells In Paris (HMV CLP 1054)

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Feb 04, 2006

日本のジャズ・ソング! バートン・クレーン

バートン・クレーン作品集 (Neach Records)

burton_craneまさに晴天のヘキレキ。元祖コミック・ジャズ・ソング、バートン・クレーンの単独盤の突然のリリースである。発売・販売がバートン・クレーン発行委員会か…。う~む、それにしてもインディーズとはいえ、よくぞリリースしてくれたもんだ。ほんの一部の好事家にしか需要なんかないだろうに。とにもかくにも快哉を叫ぶのみである。
初めてクレーンを知ったのは、仙台の佐々木健一さんからもらったオムニバス・カセットだった。「ニッポン娘さん」「おいおいのぶ子さん」「酒がのみたい」と、クレーンの唄は外国の唄におかしな日本語を乗せて歌う、いわば「替え歌」であるのだが、そのヘンな歌詞の可笑しさもさることながら、バックのサウンドが「ジャズ」という点がミソで、これはもうジャイヴそのもの。一聴して、これは居ても立ってもいられんぞといった感(何だ、それ)を強く持ったのである。

バートン・クレーンについて、ライナーからの引用を交えつつ簡単に説明すると、まず彼はプロのシンガーではない。彼は昭和初期、日本で発行されていた英字新聞の日本特派員記者であった。たまたまレコード会社の社長のいる宴席で、日本語混じりの珍妙な歌を歌ったところ、これが大いにウケてレコーディングの運びとなっということらしい。
素人くささの抜けない歌でありながら、クレーンの歌にはえも言われぬ味、ユーモアがある。それに歌詞である。クレーンの第一作にして最大のヒット曲「酒がのみたい」の歌詞のこの無思想さ加減。作詞はクレーンのほかに森岩雄も多く関わっているが、CDの解説によるとサトウハチローをして「この歌は歌そのものがすでに酔っ払ってゐるんである。ああ、俺もこんな酔っ払った歌が作りたいんである」と言わしめたという。

資料によるとクレーンは全部で33曲を吹き込んでおり、本CDはそのうち25曲を収録。そしてさらに立派な解説も付いている。
サトちゃん、やっぱ長生きしなくちゃ。

バートン・クレーンについてさらに詳しく知りたい方は以下を。
http://www.jah.ne.jp/~ishikawa/Burton.html
http://camp.ff.tku.ac.jp/YAMADA-KEN/Y-KEN/fulltext/02BC.html

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