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Feb 12, 2006

ディッキー・ウェルズ

dicky_wels

昨年12月のエントリーでガットバケット・トロンボニスト、アイク・ロジャースを取り上げたが、拙ホームページの「ベスト5/2005」では図らずもジャイヴ博士の魚住さんが「ゲロトロ」と称して同じくロジャースそしてロイ・パーマーを挙げていた。実のところ、これはまったくの偶然であったわけだが、もしかするとこれが単なる偶然ではなく、今年ドロ臭系トロンボーンが流行する予兆であったりして。なわけないな。

ところで魚住さんのコメント中、気になったのがディッキー・ウェルズの名前だった。うーむ、いくらなんでもディッキー・ウェルズがガットバケットっていうのは…と普通は思うところだが、「セシル・スコットの~」と切り出すところが魚さんの鑑識眼の鋭いところなんだなぁ。
その魚さん言うところのセシル・スコットの録音だが、セシル・スコット&ヒズ・ブライト・ボーイズ名義のものを指す。彼らの録音は29年にブルーバードに残した4曲のみ。メンバーはウェルズのほかにビル・コールマン、フランキー・ニュートン、ドン・フライとマニアにはたまらんところが顔を並べている。
で、肝心のディッキー・ウェルズのガットバケットぶりだが、ギリギリのところで品位を残しているものの、その後のウェルズのトロンボーンからは想像できない泥臭さ、エグ味を出した演奏となっている。ただここではディッキーだけが突出してクサイというわけではない。セシル・スコットのバリサク(?)によるタンギングだって相当なものである。要するに全体としてグロウルなサウンドに統一してあるわけだが、この辺りのサウンド指向は初期のエリントンにも当てはまる。ブルース・フィーリングの発露、これが彼らのジャズなのである。

さて、ディッキー・ウェルズといえば昔から彼の代表的録音として挙げられるのが"Dicky Wells In Paris"である。これは37年、テディ・ヒル楽団のメンバーとして渡仏した際に録られたもので、ウェルズならではのあの「よく歌う」トロンボーンが全編に展開していると同時に、「ジャンゴ・ラインハルトの参加」がもう一つのウリとなっているアルバムである。
しかしそれにしてもだ。やはりジャンゴが加わったトラックを聴くと唸ってしまうのである。普通のギタリストはバッキングをピックでやる。音もそういう音である。しかしジャンゴのは違う。スコップなのである。まるでザック、ザックとスコップでトンネルでも掘っていくがごとき突撃的バッキング。おっと、今回の主役はジャンゴではなかった。
ウェルズは、この録音の翌年カウント・ベイシー楽団へ入団するのである。

セシル・スコットが収録された仏RCAのブラック&ホワイトの2枚組LP(画像左)は、セシルとロイドのスコット兄弟のほかにチャーリー・ジョンスンがカップリングされている。余談になるが、1920年代後半コットン・クラブのエリントン楽団に迫る人気を得ていたのがスモール・パラダイスというクラブを根城としていたこのチャーリー・ジョンスンであった。
彼についてはまたいずれ。

*画像左より
Charlie Johnson/Lloyd Scott/Cecil Scott (RCA 741 065/066)
Dicky Wells In Paris (HMV CLP 1054)

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Comments

お久しぶりです。CDネタでは太刀打ち出来ませんので・・・(笑い)

この3代ゲテモノシリーズ(トロンボーン、クラリネット、そしてコルネット)は最高です!
見かけたら即購入します。


Posted by: 佐藤 少年改めHokum Goodman | Feb 13, 2006 at 11:06

「Hokum Goodman」のGoodmanていうのは、ベニー・グッドマンから?
それとも単にいい人ってこと?(笑)
そういえば昔、トニイ・レコードの西島氏が紅 良男(=ベニー・グッドマン)
というペンネームを使ってましたっけ。なかなかいい名前だと思いました。

今回のLPですが、そんなに珍しいものではないので、
そのうち見つかると思いますよ。ただ"In Paris"の方は、
よく出回っているのはHMV盤じゃなくてPrestige盤だと思います。
ジャケがちょっとあれですが、内容は一緒ですので。

それから以前「ベルゾナ盤を探すぞ!」とおっしゃってましたっけ?
当ブログにディスク・ユニオンのトラックバックが付きましたが、
これが何とベルゾナ盤の入荷案内です。でも東京じゃちょっと無理っすか。

Posted by: yama | Feb 13, 2006 at 16:20

ディッキー・ウェルズ、好きです。と言ってもジャンゴがらみでフランス盤EP持ってるだけですが・・・。ジャンゴの霊的な右手と交錯するブルースが特に好き。

Posted by: バートン | Feb 13, 2006 at 16:27

「音のゴッタ煮」なんて使い古されたフレーズじゃなしに「ブルース・フィーリングの発露」!

ジャンゴのスコップぅ?素晴らしい文章表現ですネ
いい音楽聴いた時みたいに「クッゥ~!」なんて唸らされます(さすが プロ!)

Posted by: ドクター | Feb 13, 2006 at 17:27

ディッキー・ウェルズのイギリス盤、やっぱりいいジャケットですね!こういうのはアナログならではですね。仏パテでもこのタイトルで出てませんでしたっけ?

Posted by: razzmataz65 | Feb 13, 2006 at 18:40

> バートンさん

ディッキー・ウェルズが好きという方は初めてだなぁ。
で、ジャンゴのEPですか。ジャズのEPっていうのも
なかなかいいもんですよね!

> ドクターさん

ほめられてるんだか、からかわれてるんだか…。
あ、それからプロじゃないってば。

> razzmataz65さん

いや~、仏パテのは知りません。
でもさすが御大。やっぱり見てる量が私とは全然違うなぁ。

Posted by: yama | Feb 13, 2006 at 23:03

まいどどうもです。ついでながら、トニー西島さんのペンネームは、紅 良男ではなく紅井良人です。やはり、年の功でしょうか・・・(笑)

Posted by: razzmataz65 | Feb 14, 2006 at 08:13

ありゃ、しまった! ちゃんと確認すればよかった。
ただ、私の持っている『ジャズ批評』(昭49/No.19)では、
良人じゃなくて良男になってます。途中で変えたんでしょうかね。

Posted by: yama | Feb 14, 2006 at 11:32

いやぁ~お話をすると長くなりますが・・・
実は私たちの主催するDJ会のブログをつくりまして。
それに伴って、レギュラーの4人のハンドルネームを○○グッドマンにすることになったわけです。
私は田舎臭さと黒人感を出してみました。
一応、気になったSP等をアップをしていきたいと思っております。


下のアドレスです。貴重なスペースを使い宣伝をしてしまい、申し訳ありません。

http://pmj-records.cocolog-nifty.com/blog/


というわけで、田舎ものの私にはベルゾナ盤は無理そうです(笑い)。
でも相当な争奪戦、高額になりそうですね。

Posted by: Hokum Goodman | Feb 14, 2006 at 17:04

EPはジャンゴではなくてディッキーのものです。フランスHMVのSuper45のシリーズのもの。他にもこのシリーズ、ジャンゴのソロばかり集めたものか、J.P.Sassonのギターもんとかいいのあります。

Posted by: バートン | Feb 14, 2006 at 17:08

> Hokum Goodmanさん

いよいよブログ・デビューですね!
まずはケパードから?
楽しみに待っておりますよ。

でも、佐藤少年の方がいいなぁ(笑)。

> バートンさん

おっと、失礼しました。
EPはクレフのものなんかは欲しいんですが、曲単価で
考えるとやっぱりなかなか手が出ないんですよね。

Posted by: yama | Feb 15, 2006 at 00:45

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