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Mar 25, 2006

ハーフ・パイント・ジャクスンのレコード(2)

ハーフ・パイント・ジャクスンのレコードといったら言わずもがな。まずはこの2枚。

half_pint_ci

Left: Saturday Night Scrontch (Collectors Items 013)

実質上はタンパ・レッドのホウカム・ジャグ・バンド名義の録音集となる。もちろん、ヴォーカルはすべてハーフ・パイント・ジャクスン(1928~30年録音)。
説明無用の"It's Tight Like That"、トリクシー・スミスの"My Daddy Rocks Me"そして"I Wonder Where My Easy Rider's Gone""Mama Don't Allow No Easy Riders Here"といった辺りに漂うダルであやしげ、下世話、ワイザツ感。タンパ・レッドのスライドにジャスパー・テイラーのウォッシュボード、その上ジャグがウゲウゲ、ボッボッと絡み、どの曲も予断を許さない展開。
ブルース・ファン、ジャズ・ファンのどちらからも長年見て見ぬ振りをされてきた音楽がこの手の音楽である。ま、別に無視したって構わないけど、ジャイヴ・ファン、ホウカム・ファン(いないか)ならば、これを聴かずして何を聴く。

Right: Can't You Wait Till You Get Home (Collectors Items 014)

キャリアとしてはこちらの方が古く1926~29年、そして1933年のフランキー・ジャクスン&ヒズ・ホット・ショッツを収録。
先の盤に負けず劣らず、こちらも実に捨てがたい内容だが、「ハーフ・パイントらしさ」ということで言えば本盤の方になるだろう。ヴォードヴィル調のものからノヴェルティ・ジャズまで、ハーフ・パイント本来の多才なエンタテイナーぶりが満喫できる。しかし中でも驚くのは"Can't You Wait Till You Get Home"や"Willie The Weeper"といった、バックがピアノ一台のみであるにもかかわらず生み出すこの強烈なドライヴ感。やはり一種の天才であろう。
女性と聴き違えるほどのハイトーン・ヴォイスにアクの強さ、音楽というより「芸」といったものに近いのがハーフ・パイント流ジャズである。クセはあるが、一度親しむと病み付きになる。

次回へ続く。

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Mar 21, 2006

ハーフ・パイント・ジャクスンのレコード(1)

half_pint_jaxon

ピアノ・ロール・コレクター界(あるのか)の紅一点、“ろ~るぅに~”ゆうこ女史より「ハーフ・パイント・ジャクスンをよろしく!」とのこと。今月はレヴュー原稿も無事書き終え、これでしばらくはのんびりできると思っていたのだが、この方には私、逆らえないので謹んで取り上げさせていただく次第であります。
それにしてもついこの間は三木鶏郎がマイブームだって言ってたけど、今度はハーフ・パイントか。で、鶏郎の前が確かジャンゴだったよな。一体何なんだ、この振り幅の大きさは。ていうか振り方がちょっと強引。

ハーフ・パイント・ジャクスンはかつては知る人ぞ知るの代名詞みたいな人であった。それが今では少なくともジャイヴ・ファンの間には名の通った存在にまで昇格し得たのは、主にレコード・コレクターズ誌などを通じた中村とうよう氏の布教活動によるものであろう。何年か前にジャクスンの単独CDが国内盤としてリリースされたが、もちろんそれもとうよう氏編集によるものだった(現在は廃盤)。
というわけで現在ではジャクスンは比較的恵まれた(?)状況にあり、バイオ等もすべて明らかにされている。しかも日本語で。よって彼のバイオを書こうとするとそういった資料の丸写しということになるだけなので、どうしても知りたい方は申し訳ないがCDのライナーなり、とうよう氏の著作なりを参照いただきたい。
じゃあ何を書くかというと、ジャクスンのレコードを適当に取り上げて簡単にコメントを付けようかと。手抜き。
では、つづきはまた次回。

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Mar 19, 2006

Amarcord/Earl Spencer

今年初めてか、蒐集ノートは。

amarcord_spencer

V.A. - Amarcord Nino Rota (Hannibal Records HNBL 9301)

「悦楽音楽」探求家のドクターさんが名盤中の名盤に認定した1枚。
ニノ・ロータ絡みというわけで私の蒐集対象からはややはずれるのだが、しかしジャッキー・バイアードの「世にも美しいソロ・ピアノ」と言われれば黙って見過ごすわけにはいかない。早速、私のウォント・リストに加えさせていただいたというわけなのだ。
というわけで、内容についてはドクターさんのブログを参照されたい。
バイアードだけ関して言えば、耽美かつ波にたゆたうかのような音の旋律が素晴らしい。あともう一つ書き加えておくと、CD化はされている。ただすでに廃盤状態のようで、アマゾンではユーズドに2万円超という法外とも言える価格が付いている。中古レコのバカ安加減に憤慨されていたが、これならご納得か、ドクター殿。

Earl Spencer And His Orchestra - Concert In Jazz (Tops L1532)

このLPのことを知ったのは、かなり昔の『ジャズ批評』(No.80/1994)に載った紹介記事を見てのことだから、随分長い年月かかってやっと手に入れたということになる。もっともそれほど積極的に探していたというわけではないが。
アール・スペンサー自身は凡庸なと言っていいトロンボニストだが、なぜこのレコードを買ったかと言えば、本盤にアーヴ・ギャリスンのギター・クインテットをフィーチュアした「ファイヴ・ギターズ・イン・フライト」が収録されているというその一点。
それにしても耳をつんざかんばかりのこのブラス・サウンド。かなりうるさいのである。こういった類のビッグ・バンドを聴く素養をまるで持ち合わせていないので何とも評価しかねるが(スタン・ケントンなら聴きもするし、その評価も理解できるけど)、このレコードというかこのアーティストに対する需要があるとは思えんなあ。
考えてみれば、肝心の「ファイヴ~」だって面白いとは思うけど、だからと言ってそう何度も聴きたくなるような代物でもない。それに今となってはCDで簡単に聴けるし。このジャケットのキュートな女性が唯一の救いか。

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Mar 18, 2006

アレマン~クイン

さて3月も半ばを過ぎたわけだが、皆様、確定申告は終えられただろうか。私はサラリーマンなので通常から言えばその必要はないのだけれど、私の勤める会社は給与体系がちょっと特殊なので各自申告をしなければならない。それとわずかではあるが給与以外にbsrの原稿料が源泉徴収されているので、これも合わせて申告している。
でこの原稿料の方は必要経費が認められるのである。そこで一応とってあるCDやらレコードやら音楽関係の雑誌の領収書を計算するわけなのだが、もう笑うくらいに赤字。もちろん収入自体が微々たるものであるし、ハナから黒字にしようなんて気も毛頭ないわけだけど。しかし考えてみると果たして音楽ライターなんかで飯を食うなんてことが可能なんであろうか。いやそれよりも、一体どれだけ書けば飯が食えるのだろうか。私だったら気が狂うな。

とまあ与太話はこれくらいにして、と言いたいところだが、これといってほかに書くこともない。そこでいつもコメントをくれるHGさん(レイザーラモンじゃありません)がオスカー・アレマンのLPについて尋ねられていたので、今回はそれをちょっと見せびらかしておくか。といっても大して珍しくもない盤だけど。
とそれだけじゃ何なので、ついでにあともう一枚、スヌーザー・クインを。クインは40代そこそこで亡くなってしまった無名中の無名ギタリストで、録音もほとんど残されていない。これはクインが亡くなる一年ほど前、旧友であるジョニー・ウィッグスが入院中のクインを訪ねて録音したもので、彼唯一のLP。クインは決して上手いギタリストではないが、ひとの良さが滲み出たようなギターを弾く。「ジョージア・オン・マイ・マインド」が胸にしみる。ちなみにこれもそんなに珍しいレコードではない。どちらかというと持っているという人間が珍しいってとこか。確か魚さんも持ってたはずだけど、日本で5人くらいか、持ってるの。

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*画像左より
Oscar Aleman - Swing Guitar Legend (Rambler 106)
The Legendary Snoozer Quinn with Johnny Wiggs (Fat Cat Jazz Records FCJ 104)

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Mar 13, 2006

カサ・ロマ・オーケストラ

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フレッチャー・ヘンダースン、ジミー・ランスフォードの両オーケストラがジャズ史に大きくその名を残すこととなった最大の要因は、それぞれドン・レッドマン、サイ・オリヴァーといった天才的アレンジャーを擁していたことにある。そして今回のグレン・グレイ率いるカサ・ロマ・オーケストラもまたジーン・ギフォードのアレンジを得たことにより、忘れ得ぬ白人バンドとして同じくジャズ史に刻まれることとなったわけである。
ギフォードのアレンジは微に入り細にうがったメカニカルさが特徴だが、しかし彼が指向するところはあくまでもホットかつヴァイタリティ溢れるアンサンブルにあった。
そんなギフォードのアレンジばかりが取り沙汰される同バンドであるが、主要メンバーとなるクラリネットのクラレンス・ハッチンライダー、トロンボーンのピー・ウィー・ハント、テナーのパット・デイヴィスといったあたりがソロイストとしてかろうじて面目を保つだけのソロを聴かせる。がしかし、正直言えばそれでも二流止まりである。やはりカサ・ロマの要を成すのはギフォードのアレンジであり、それはプレイヤーの駒不足を補って余りあるものであるばかりか当時の最高水準を行くものであった。

CDはHEPから結構な枚数が出ているようだが、前述したように彼らの聴くべき録音はギフォードが在籍していた期間、つまり34年までということになる。今回少し聞き直してみたが、二番煎じな推薦ながら"White Jazz""Black Jazz""Blue Jazz"そして "Maniac's Ball"あたりが聴き応えある力作である。

さて、ギフォード退団以降のカサ・ロマ・オーケストラだが、フレッチャー・ヘンダースン、ジミー・ランスフォードが辿った道がそうであったように、彼らもまたもかつての輝きを取り戻すことはなかったのである。

久しぶりの更新ネタがカサ・ロマ・オーケストラってのも何ですが、誰も書かないものを書くことに使命を感じてるもので。ウソだけど。

*画像左より
Glen Gray and the Casa Loma Orchestra (Jazum 32)
Glen Gray and the Casa Loma Orchestra (Jazum 33)

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