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Jul 08, 2006

ハーフ・パイント・ジャクスンのレコード(4)

3回で完結したはずの「ハーフ・パイント・ジャクスンのレコード」だが、ひょんなことから新たにEPが1枚手に入ってしまった。せっかくだからもう1回だけやるかと簡単に考えて「しばしお待ちを」なんて言ったのだけど、がちゃこさんからそうはさせじと釘を刺されてしまいました。
しかしジョージア・トムやらホウカム・ボーイズへ話をって、私は中村とうようじゃないんだから。おかげで100曲くらい聴いたな、タンパ・レッドにジョージア・トム。書くのはハーフ・パイントだってえのに。だけど結局は音を確認しただけ。内容には反映されませんでした。何やってんだか、私。

Half_pint_ep2

"Half Pint" Jaxon (Pirate MPC 520) [EP]

スウェーデン、パイレートのEP盤。A面はビル・ジョンスンのルイジアナ・ジャグ・バンド名義で、"Get The "L" On Down The Road"と"Don't Drink It In Here"。ビル・ジョンスンのスラッピン・ベースもすさまじいばかりだが、ジャグ、カズーが醸す下世話加減が何とも言えずいい。ちなみにピアノはジョージア・トム。
B面はアイキー・ロビンスン&ヒズ・ブル・フィドル・バンド名義。"Rock Me, Mama" と "My Four Reasons"。こちらもジャグがバンジョーとフィドルに替わっただけで、雰囲気としてはA面と変わるところはない。
収録曲はいずれもホウカム調ナンバーだが、ただホウカムとは言ってもタンパ・レッドとジョージア・トムのコンビなどから来るイメージとはかなり趣を異にする。彼らホウカム・ボーイズのようなのほほんとした牧歌的雰囲気は微塵もない。

と、ここでタンパとトムといえばと、ちょっと話を強引に持って行く。タンパ・レッドとジョージア・トム二人のコンビによる大ヒット・ホウカム・ナンバー、「イッツ・タイト・ライク・ザット」である。28年9月リリースのオリジナル・ヴァージョンはこの二人によるものだが、同年11月の再録ヴァージョンでは新味を出そうという意図からか、ハーフ・パイント・ジャクスンをヴォーカルに迎えホウカム・ジャグ・バンドを名乗って吹き込む。で、これが案の定の無軌道ぶり。だがやり過ぎたと反省したか、さらに間もない28年12月にオリジナル・ヴァージョンに近い形で「イッツ・タイト・ライク・ザット No.2」を録音するのである。
おそらくこの「タイト~」タイプの曲はセールス的にそれなりの成果があったのだろう。タイトルこそ違え、その後もこっちがうんざりするくらい吹き込んでいる。さらに同曲の成功は他のアーティストにも影響を与え、「タイト~」と同じパターンを持つ曲が多く生み出されることになる。ビッグ・ジョー・ウィリアムスの看板曲「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」もその一つと言える。

話が横道にそれた。収録された4曲ともジャズ系ジャグ・バンド(アイキー・ロビンスンの方はジャグはないが)のクサ味漂うサウンドに絡むハーフ・パイントのハイテンションなヴォーカル。やはりこれはかなり独特であるな。

Half_pint_6

V.A. - New Orleans Horns Vol.1&2 1923-1954 (Document DLP 501/502)

ドキュメントの珍しい2枚組LP。少し前に魚住さんから旧マッチボックス盤のゴスペル・コンピにハーフ・パイントが収録されているとご教示いただいたのだが、それが本LPにも収録されていることが後でわかった。ただマッチボックス盤は2曲らしいが、こちらは4曲入っている。
収録されているのはコットン・トップ・マウンテン・サンクティファイド・シンガーズのもの。なぜゴスペルがこのタイトルのコンピに?と疑問に思われるだろうが、パンチ・ミラーが加わっているというわけ。
さてハーフ・パイントのゴスペルというわけだが、なるほど女性コーラスがバックに付き、一聴ゴスペルに聴こえる。が、やはりあのヴォーカルである。キワモノと呼べないでもない。

ブラック・ミュージックの歴史 (MCA VIM-5~7)

最後は中村とうよう氏監修による3枚組ボックス・セット。この中に1曲だけハーフ・パイントが入っている。正確にはアイキー・ロビンスンのリーダー吹き込みで、つまり先のEPと同じ。収録曲は"My Four Reasons"。
実はこのレコードの数年前の発売となる『ブラック・ミュージックの伝統』にハーフ・パイントが入っていたと思い、そちらをと考えたのだが、私の勝手な思い込みだったようだ。ともあれ日本盤でハーフ・パイントが聴けるアルバムということで取りあえず1枚挙げてみました。

※パイレートのEPについて、黒人雑学事典(ジャズ批評/No.44)の「ジャズとブルースの接点にいた1920~30年代のアーティストたち」という記事の中で佐々木健一氏が取り上げている。記事の内容だが、ホウカム~シカゴ・ジャズとブルース周辺の音楽を広範囲に取り上げるという興味深いもの。機会があったら(ないか)ぜひご一読を。

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Comments

それにしても ハーフ・パイントさんって縦横無尽って言うか破天荒っていうか あまり類をみない人物ですネ
ドキュメントのLPって 珍しいってよりなんかオーラが出てますナ(僕には買えませんが)
あの本はウチにもあった気がします(探してみよ)。

Posted by: ドクター | Jul 09, 2006 at 17:12

 モニタが...
 モニタが涙で霞んで
 なかなか読み進めることができません...

 2週間ほど前
 ナンバの中古レコード屋で
 document DLP 560 ‘FRANKIE HALF-PINT JAXON’を
 発見し
 感慨に耽りながら聴き惚れていた毎日でした

 ああ
 なんと心高鳴るシリーズ記事でしょう
 お礼のしるしに
  It's Tight Like ThatのSP
 という駄文を
 今晩 稚Blogにアップすることにします

Posted by: がちゃこ | Jul 09, 2006 at 18:07

> ドクターさん

ドキュメントのLP(CDもだけど)ってのは、何か調べたりするときには
手っ取り早く探すことができるので、まあ、リファレンスとしては
最適なんですけどね。

『黒人雑学事典』お持ちですか。サスガッ!

> がちゃこさん

「涙で霞んで」って、前もだれかそんなことを書いてたような…。
ところで、「タイト~」のSPをお持ちですか。
では、楽しみに待ってますので!

実はパンチ・ミラーのハーウィンのLPも挙げるつもりだったんですが、
すっかり忘れてました。
でも、もういいですよね(笑)。

Posted by: yama | Jul 09, 2006 at 23:09

ひと晩遅れましたが
駄文書き散らかしました

Posted by: がちゃこ | Jul 11, 2006 at 00:03

そうですか! では早速おじゃまします。

それと関係ないけど、最近のココログのレスポンスの遅さ。
尋常ではないな。こんな状態が続くんなら引っ越しを考えねば。

Posted by: yama | Jul 11, 2006 at 08:33

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