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Dec 31, 2006

エイドリアン・ロリーニのCD

Adrian_rollini_cd

前回に続き、エイドリアン・ロリーニを。
ロリーニのCDについては、2006年1月のエントリーでジャズ・オラクルとリトリーヴァルの2種のCDを取り上げたが、その後もネタが尽きることなく新たなCDが出続けている。ただ「関連CD」となると、タイトルにロリーニの名前が出ていないため、それがロリーニのものなのかどうか判別しづらい。そこで今年最後のエントリーとして、関連ものも含めてロリーニのCDの大放出を。普通だったら「こんな企画、誰が喜ぶんだ」ってとこだけど、なぜか当ブログ周辺にはロリーニ好きが多いようなので。

エイドリアン・ロリーニ、レッド・ニコルス、ドーシー・ブラザーズを中心メンバーとするカリフォルニア・ランブラーズには、そのバンド・メンバーを組み合わせて作ったいくつかのピックアップ・コンボが存在する。リトル・ランブラーズ、グーファス・ファイヴ、ユニヴァーシティ・シックス、ヴァーシティ・エイト、ファイブ・バーミンガム・ベイビーズ、ゴールデン・ゲイト・オーケストラなどである。
どうしてこんなにもたくさんのバンドを作ったかというと、要するに契約の制限を逃れて他のレーベルにもバンバン吹き込んで稼いでやろうという魂胆からで、決して音楽的可能性を求めて様々な形態のバンドを、などという殊勝な考えからではない。確かにいくつかのバンドではそれなりの個性を持たせてはいるようだが。

ロリーニは上記すべてのバンドに中心メンバーとして参加しており、その録音数はすべて合わせると千にも達しようかというほどである。にもかかわらず同僚であるレッド・ニコルスやドーシー兄弟と比べるとロリーニの知名度は明らかに低い。その原因はおそらくロリーニの担当した楽器にあるのではないか。
アーリー・ジャズ期における花形楽器は何と言ってもコルネット(トランペット)とクラリネットである(あとトロンボーンも入るか)。しかしこれが天才たるゆえんか、ロリーニが選んだ楽器はバス・サックスとヴィブラフォンであった。どちらもジャズではあまり好んで聞かれない楽器である。というかバス・サックスに関しては「何それ?」であろう。あと、先に列記したバンドにグーファス・ファイヴというのがあるが、このバンドではバンド名と同じグーファスという名のこれまた変わった楽器を操っていた。ボタン式サックスとでも言ったらいいのか、見た目はサックスなのだが、音はアコーディオンのようなピアニカのような。
とにかくこの天才的選択というか変わった趣向(器用であったというべきかも)が、ジャズメンとしてロリーニが今ひとつメジャーになれなかった理由ではないかと思うのだがどうか。

さて、画像のCDについて若干説明を。ロリーニ関連の最新リリース盤はドキュメントからのゴールデン・ゲイト・オーケストラで、これは同レーベルが行っているエジソン音源の発掘シリーズの第4弾になる。しかし第3弾のヴォーン・デリースもそうだったが、作りが手抜きもいいとこ。録音データが一切ない。同じゴールデン・ゲイト・オーケストラ名義のCDならば、画像にもあるタイムレス盤をお薦めする。タイムレス盤を1枚でもお持ちの方なら分かると思うが、こちらは作りが非常に丁寧。もちろんデータも完備されている。ドキュメント盤はこのタイムレス盤とは1曲しかダブらないが、やはりマニア向けの1枚であろう。もっともロニーニを聴こうということ自体マニアであるかもしれんが。
画像以外にも、カリフォルニア・ランブラーズ、リトル・ランブラーズ、グーファス・ファイヴのCDも出ているが(いずれもタイムレスより)、これらは少々古いリリースとなるので画像からは省いた。

では皆様、来年もよろしくお願いします。

画像上段左より
The Golden Gate Orchestra - Crazy Word, Crazy Tune (Document DOCD-1104)
Adrian Rollini And The Golden Gate Orchestra 1924-1927 (Timeless CBC 1-090)
The Versity Eight 1923-1926 (Timeless CBC 1-062)
Five Birmingham Babies - Heart Breakin' Baby (Frog DGF58)
Adrian Rollini Trio, Quartet and Qintet 1936-1947 (Vintage Music Productions VMP 0171)

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Dec 23, 2006

Adrian Rollini Trio

Adrian_rollini_trio

近年、エイドリアン・ロリーニ関連のリイシュー状況には目を見張るものがあるわけである。本人名義はもちろん、関わりのあったバンドまで次から次で、LP時代もこうはなかったのではないか。
とは言っても、未CD化のものもまだあるにはある。画像のマーキュリー盤、"Adrian Rollini Trio"がその一つ。手元のCDをちょっと調べてみたら、2曲だけヴィンテージ・ミュージックの"Adrian Rollini Trio, Quartet and Quintet"に収録されていた。
で、このマーキュリー盤だが録音データ等の記載が一切ない。先のヴィンテージ・ミュージック盤には47年録音と書かれているが、メンバーはやはり不明。エイドリアン・ロリーニ・トリオというと、30年代はフランク・ヴィクター(g)とヘイグ・ステフェンスまたはハリー・クラーク(b)というメンバーで演っていたが、同じメンバーなのか。トム・ロードかイェプセンのディスコグラフィには載っているのだろうか。

収録曲中、貴重なのがショパンの「子犬のワルツ」(でよかったか)。目の覚めるようなピアノ・ソロで始まるので、誰かピアニストが参加しているのだなと思って聴くわけだが、途中からギターは加わるものの、肝心のヴァイブがなかなか出てこない。一体いつになったら出てくるのかと聴いているうちにハタと気付くのである。「そうか! このピアノはロリーニか!」と。
ロリーニといえばバス・サックスとヴァイブというイメージしかわかないが、やはりというか元々彼はピアノから出発している。以前、ホームページにも書いたことがあるが、彼はいわゆる神童であった。4歳でショパン・リサイタルをニューヨークのウォルドーフ・アストリア・ホテルで開いたというから相当な天才少年ぶりである。今で言えば『のだめカンタービレ』の千秋みたいなもんか。よく知らないけど。
久しぶりに聞き返してみて、「ヴァイブ版アート・テイタム・トリオ」というフレーズが思い浮かんだ。圧倒するようなテクニカルなプレイも聴かせるが、しかしテイタム・トリオがそうであったように歌心と、そしてスウィングに溢れている。

Adrian Rollini Trio (Mercury MG-20011)

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Dec 17, 2006

ジャグ・バンドのレコード (2)

Jug_blowers

11月19日のエントリー『サンシャイン・スペシャル』で触れたルイヴィル・ジャグ・バンドは、正確にはアール・マクドナルズ・オリジナル・ルイヴィル・ジャグ・バンドといい、ジャグ奏者であるアール・マクドナルドの名が冠されている。
ところでルイヴィル・ジャグ・バンドというともう一つ、ヴァイオリン奏者のクリフォード・ヘイズをリーダーとするクリフォーズ・ルイヴィル・ジャグ・バンドというのもある。ジャグを吹いているのは同じくアール・マクドナルド。わずかな録音しか残していないが、このバンドがしばらく後にディキシーランド・ジャグ・ブロワーズと名前を変えるのである。ただこの説明は若干中途半端で、遡って話をすればこの二人が最初に組んで録音を行ったのは1924年、サラ・マーティンのバック・バンドとして。その後このジャグ・ブロワーズも含めていくつかの名前を使って吹き込みを……となる。しかしここではバイオ的な話は割愛する(大体、ブログにそんなことを長々と書いてもね)。

ディキシーランド・ジャグ・ブロワーズの中心人物はもちろんクリフォード・ヘイズとアール・マクドナルドの二人だが、もう一人、バンジョーのカル・スミスもまたバンド・サウンドの要を成す重要なメンバーであった。はっきり言ってジャグバンドのプレイヤーにしておくのはもったいないくらいのセンスと腕前。マクドナルドのジャグに絶妙に絡んでいくスミスのバンジョー。"Banjoreno"を聴いてくれ。曲、アレンジ、すべてにおいて非の打ち所なし。
そしてあともう一人、パーマネント・メンバーではないが、あのジョニー・ドッズが加わったトラックも数曲だがあるのである。これをグレートと言わずして何と言うか。

そんなことよりレコードだった。左はお馴染み、ジャグ好きなら誰でも持っているヤズー盤。別に珍しくとも何ともないってやつである。右の10インチ盤は仏RCAの「Treasury of Jazz 」からの1枚。こっちはヤズーほどは知られていないと思うが、やはり大して珍しくないか。
Dgf6念のため言っておくと、この2枚のレコードは今回は全然聴いていない。聴いていたのはもっぱらフロッグのCDだった。で、これが最低10回聴いたがまるで飽きない、稀に見る素晴らしいCDであった。RSTにも4枚からなる全集があるが、いきなり4枚では聴く前から気持ちが萎える。それよりもこの1枚を聞き込んだ方がよっぽど身になるというものだ。ちなみに音は圧倒的にフロッグの方がよい。
うむ、今まではラックに並べていたために持っていることすらほとんど忘れていたが、今後は特等席、机の上に置いてやるぞ。

Clifford Heys & The Dixieland Jug Blowers (Yazoo L-1054)
The Dixieland Jug Blowers with Johnny Dodds (RCA 130.286) [10"]

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Dec 10, 2006

ジャグ・バンドのレコード (1)

Tub_jug_washboard

もう一ヶ月以上もジャグ・バンドに肩までつかっている。そういえば何年か前も、いや何年かに一度「ジャグ・バンドが聴きたい波」がやってくるである。基本的にジャグ好きなんだな、私。あとウォッシュボードも。言うまでもないと思うが、あくまで聴くだけ。実際に吹いたり引っかいたりはしないので。
「聴きたい波」にはいつも何かしらのきっかけがある。今回は少し前のエントリーで書いたマッドワーズのライヴだった。そしてさらにその直後、久しぶりに聴いたVJM盤『サンシャイン・スペシャル』収録のルイヴィル・ジャグ・バンドでジャグ熱の再燃は決定的なものとなったのである。

上の画像のLP、"Tub Jug Washboard Bands"は、10月17日のエントリーで紹介したリヴァーサイドの「クラシック・ジャズ・マスターズ・シリーズ」の1枚。このシリーズの手持ちは、あのときの画像に並べた6枚で全部と思っていたのだが、今回ジャグ・バンドのレコードをあれこれ引っ張り出していたところひょっこり出てきた。それで今回は、先のエントリーの補完の意味も込めて取りあえずこのリヴァーサイド盤を上げてみた。
このレコードだが、昔『レコード・コレクターズ』で中村とうよう氏が紹介していたことがあった。"It's Tight Like That"の同類曲に"Thirty Eight And Plus"というのがあって、それがこれで聴けると、そういう内容だったと思う。
本盤には9組のジャグ/ウォッシュボード・バンドが収められているが、中でもジャグとバンジョーが絶妙のコンビネーションを聴かせるタブ・ジャグ・ウォッシュボード・バンドが本LPの白眉。

さて、というわけで『ジャグ・バンドのレコード』は不定期にしばらく続きます。

V.A. - Tub Jug Washboard Bands 1924-1932 (Riverside RM8802)

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Dec 01, 2006

Fess Williams / Smokey Wood

肌で感じております、“格差”。レコードなんて、もう今までみたいに買えない。CDだけで精一杯。いや、そのCDだって買おうか買うまいか、悩み抜いたあげく意を決して買っているのである。ま、その分、今まで溜まりに溜まった未聴盤が聴けるわけだけど。ケガの巧妙ってやつですか。とほほ。
そんな厳しい財政状況の中、先月(11月)は久しぶりにレコードを買った。その中から収穫と言える2枚を。

Fess_and_smokey

Fess Williams & His Royal Flash Orchestra (Ristic 30) [10"]
ホームページでも取り上げておりますとおり、フェス・ウィリアムスはウィルトン・クロウリー、ジョージ・マクレノンと並んで私の大好きなゲテクラ・プレイヤーの一人だけれど、こんなレコードがあるとは知らなかった。
リスティックはジョンR.T.デイヴィスの道楽的レーベルで、どれも入手難、なかなかお目にかかることができず一体どんなものが出ていたのかもさっぱりつかめなかった。まさかフェスがあったとは。しかし、よくよく考えてみれば、R.T.デイヴィスはレトリーヴァルでフェスのマスタリングを手掛けているわけだし、「まるで予想だにしない1枚」と言えるほどのものではない。ま、このレコードを手にできたからこそ言えるわけだが。
それにしても、このジャケットのイラストは何なんだ。

Smokey Wood - The Houston Hipster (Rambler 107)
こんなことなら手放さなければよかったな。今さら言っても仕方ないけど。もらった酒も飲んじゃったし。
今はもう手元にないそのハートマンズ・ハートブレイカーズとこれを2イン1にしたCDが出ていたが(現在は廃盤)、こうなるとLPも両方揃えたいと願うのがレコード・コレクターってもんだ。あ~あ、手放さなければ揃っていたのに…。また探すか。
ハートブレイカーズは安かったが、これはそれほど安くはなかった。ウェスタン・スウィングのレコードのことはよく分からないが、こっちの方が内容/レア度ともに上ということかもしれない。スモーキー・ウッドはピアノ兼ヴォーカリストで、その歌い口からファッツ・ウォーラーの影響がかなり強く感じられる。バンド・サウンドもファッツのアンド・ヒズ・リズムを少々田舎臭くした感じだ。CDでけっこう聴いてはいたけど、改めて聴いてみて内容の良さを再確認した。かなりいいな。しかもCDには未収録のものが含まれているし。
というわけで、どんなに乞われようとこれは断じて譲れません(笑)。悪しからず。

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