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Apr 17, 2007

FROG新譜

Frog

京都ホット・ディスクよりCD到着。フロッグの新譜3枚、リチャード・M・ジョーンズにキング・オリヴァーが2枚という内容。
ジョーンズの方はちょっとおいといて、オリヴァーは彼の晩年期にあたるヴィクター音源のコンプリート集。晩年(といっても実際はそれほど歳ではない。彼は52歳で亡くなっている)のオリヴァーは歯を痛めていたためほとんどソロをとっておらず、そのため彼のキャリア中、最も世評の低いものとなっている。
そんな分の悪いヴィクター録音ではあるけれど、LP時代、RCAヴィテージ・シリーズの"King Oliver In New York"は、玉石混交の玉の部分を取り出したオリヴァー・ファン必携の1枚で、さすがオリヴァー、たとえ晩年とはいえやはり腐っても鯛(表現が悪いか)であったと納得させられるものだった。
というわけで、残念ながらこのヴィクター録音はオリヴァーのソロを聴くといった趣旨を満たすものではないが、しかしそのことを別にすれば内容は決して悪くない。中でもやはりヘンリー・レッド・アレンの加わったトラック。別テイクを含めかなりしつこく入っているが、まるで苦にならないほど素晴らしい。
オリヴァーのジャズには、かつてジャズが確かに大衆娯楽であったと想起させるだけのパワーがある。私は「お茶の間ジャズ」と命名したいと思うが、どうか。

もう一方のリチャード・M・ジョーンズは、これは玄人向けか。何の玄人なのかよくわからんが。
彼のサウンドはちょっと表現しづらいが、キーワードはのほほん、平坦、淡々か(どれもネガティブな表現ですまない)。
ジョーンズは今回が初リイシューではない。RSTで既にCD化(2枚)されているし、古くはハーウィンのLPでもまとめて聴けたのだけれど、実を言えば私は未だ攻略法が見出せずにいた。それで今回のこのCDで再チャレンジをと思って取りあえず5回ほど聴いてみたのであるが、すると「これは!」と思う曲が3,4曲あった。あと3回くらい聴けば結構気に入るかも。結果はまた報告したい。

Richard M. Jones & his Jazz Wizards (Frog DGF63)
King Oliver - The Complete Victor Recordings Vol.1 (Frog DGF64)
King Oliver - The Complete Victor Recordings Vol.2 (Frog DGF65)

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Apr 11, 2007

Girl Singers Of The Big Swing Bands

Girls_singers

前々回の『ウェスト・コースト・ジャズを考える』に、大きな誤りがありました。キッド・オリーのサンシャイン・オーケストラを「LA初の録音を行ったバンド」と書いておりましたが、もちろん間違い。正しくは、「黒人(アフリカン・アメリカン)ジャズ・バンドとして初の録音を行ったバンド」です。あーでもない、こーでもないと書いては直し、切っては貼りを何度も繰り返しているうちに肝心な部分がおかしなことになってたみたいです。まあ、書きようによっては間違いにならないかもしれいけど、いややっぱり間違いだな。何だか新説みたいだもんな。というわけで、訂正と若干加筆しました。
しかしあれを読んで、おそらく二、三の方はお気付きになったはずなんだが、黙ってないで教えてくれたっていいんじゃないかなぁ。あ、その際は私が恥をかかないようにそっと、ということで。

さて、話は変わる。独自路線(?)を突っ走るブログ、『ドクターワールドへようこそ』のドクター殿が鼻息も荒くミルドレッド・ベイリーを核とした「白人美女系女性ヴォーカル論」を開陳、他の追随を許さないますますの独走状態となっている。
日頃から私も「女性ヴォーカルはまず見た目」などと周囲からヒンシュクを買いながらも言っているので、これにはもろ手を挙げて賛成したい。だけど、ミルドレッドが美女かどうかについては疑問符が付くんじゃないかと。彼女については、かつて私もよく聴いてその良さを十分知っているつもりなので彼女の「ヴォーカルが」素晴らしいとする意見に異を唱えるつもりなど毛頭ございません。申し訳ないっす。ただ、その容姿が。しつこいか。

と、ここでお約束の女性ヴォーカルのコンピを。
V.A. - Girl Singers Of The Big Swing Bands 1936-1952 (Fremeaux & Associes FA 5070)

仏フレモーからのこの1枚は、ビッグ・バンドのフロント・シンガーを集めたもので、2枚組の中に40曲、39人の女性シンガーが収められている。バンドの看板女性シンガーというわけで、当然ながらいずれも美人。てこともないか。
共通して言えるのは、どのシンガーも滑らか、ひそやか、爽やか、たおやかであるという点。間違っても男を蹴散らさんばかりにガナリ立てたりするバカ女はここには一人もいない。
ヘレン・フォレスト、イヴォンヌ・キングの歌唱。聴けばもんどり打つこと間違いなしである。なんて、こんなばかり言ってると必ず「歌に容姿が関係あるか」などと苦しい正論を吐かれる方が出てくるわけだが、しかしだ。ヴォーカルが美人だとバックの演奏だって違ってくるのである。ウソではない。例えばヘレン・ウォード。バックで吹くBG御大のクラの力の入りよう。力が入り過ぎてもうセクハラ状態(もっとも御大は彼女にご執心であったようだが)。いやBGに限らず歌手が美人だとバック・ミュージシャンの張り切り方がもうまるで違うのである。どうだ、と言わんばかりのソロ、嬉々としたアンサンブル。一聴瞭然である。大体がだ。エラのバックで男が奮い立って演奏できるか。ハッキリ言っておざなりである。ヴォーカルが美人だと演奏も格段に締まる。当たり前の理屈なんである。

肝心のCDの内容にはほとんど触れなかったが、収録曲についてはこちらを。
基本的に一人一曲なのでやや物足りない印象も受けるが、ベーシックなものからマニアックなものまで揃っており、入門者から上級者まで楽しめるのではないか。欲を言えばペギー・リーの“Why Don't You Do Right?”はBG楽団ではなく、デイヴ・バーバーのやつがよかったが。

あ~、これでまた今回も抗議メール殺到であろうか。取りあえず一つだけ先にあやまっとくか。エラ・ファンの方、すみません。

LP: Mildred Bailey - Her Greatest Performances 1929-1946 (Columbia C3L 22)

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Apr 01, 2007

ジャグ・バンドのレコード (5)

Smjb

早くもネタ切れの感も強い「ジャグ・バンドのレコード」ですが、いや別にもうレコードがないというわけではない。わざわざ取り上げるからにはちょっと珍しめのものを、なんていうケチな見栄を張ろうとして自分で勝手に苦しんでいるというだけのことで。
で、前にキャノンズ・ジャグ・ストンパーズを取り上げたので、そろそろここは定石としてジャグ・バンドのもう一つの雄であるメンフィス・ジャグ・バンドがくるところなのだが、でも今さらヤズーの2枚組ってのもなあ、かといってコレクターズ・クラシックス盤はジャケが地味だし…などと逡巡していたところ、ひらめいた。サウス・メンフィス・ジャグ・バンドである。うむ、このちょっと変化球っぽいところが当ブログらしくていいではないかとひとり悦に入ってるわけだけど、どうでもいいか、そんなことは。

メンフィス・ジャグ・バンドほどではないにせよ、このサウス・メンフィス・ジャグ・バンドもメンバーは流動的であったが、メインと言えるのがリーダー格のジャック・ケリー(g/vo)、そしてウィル・バッツ(vn/vo)、ダン・セイン(g)という名うての3人。あとほかにメンフィス・ミニーの3番目の亭主として知られるリル・サン・ジョーが加わったトラックもある。
肝心のジャグだが、いるにはいるが、このバンドはジャグがいてもいなくてもあまり関係がないというか、ジャグはどうでもいいというか。一聴、普通の(平凡という意味ではない)戦前ブルースで、ジャグ・バンドとしての様式美をほとんど持たないのがこのバンドの特徴と言える。実際、ジャグなしの録音も多いし。聴きどころは一にも二にも南部テイストの濃いジャック・ケリーの歌とギターにある。またフランク・ストークスとのビール・ストリート・シークスのコンビで知られるダン・セインとの絡みもなかなかよい。

サウス・メンフィス・ジャグ・バンドはオリジンのオムニバスでも数曲聴けるが、単独盤はフライライトのこの1枚のみ。なおドキュメントのCD(BDCD-6005)は長らく廃盤となっていたが、最近再プレスされている。

South Memphis Jug Band (Flyright LP 113)

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