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Oct 03, 2007

Honky Tonk Train Blues (1)

Boogie_woogie_pianos

今年の夏は記録的な猛暑だったが、ブギ・ウギ・ピアノもまたあつく燃えた夏だった。ま、燃えていたのは私だけだけど。しかし秋の声が聞こえだした10月、その熱も一体どこへやら。今やすっかり燃え尽き、沈静化してしまったわけである。そこで今回は去り行く夏を惜しみつつ、ブギ・ウギ話を。

さて、話は7月にさかのぼる。油井正一著『ジャズの歴史~半世紀の内幕』の初版本を手に入れたことは以前書いた。この本は「半世紀の内幕」などという仰々しいサブタイトルが付いてはいるが、各章は独立したジャズの小咄になっていて、どこからでも気軽に読める読み物になっている。で、これを今年の夏、音楽など聴く気になれない蒸し暑い日、涼しいトイレに避難してポツポツと拾い読みしていたのである。
そんなある猛暑日、いつものように本をトイレに持参し、適当に開いて読み始めたところがその日は「ブギー・ウギー物語」(今は「ブギ・ウギ」という表記が一般的だが、昭和32年当時はこうだったのである)の章だった。そしてそこでぶつかったのが次の一節。ミード・ルクス・ルイスの「ホンキー・トンク・トレイン・ブルース」についての記述なのだが、誤解があるといけないのでそのまま引用する。

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前に述べました「ホンキイ・トンク・トレイン・ブルース」を、ミード・ルクス・ルイスは、1929年の伝説レコード以来、五回吹込んでおります。これらをききくらべると、あとになるほど、右手の動きに、スイングやリフの要素がはいりこんできて、純粋さを失っています。39年のブルーノート12吋盤は、最低です。
『ジャズの歴史 半世紀の内幕』(油井正一/東京創元社)
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確かにこの本は昔一度読んでいる。が、おそらくそのときは漫然と読んでいたのだろう。今回改めて読んでみて、最後の「最低です」、この一語に実に激しく興味を惹かれたのである。
それにしても、これほど潔い言葉もない。ま、反感は買うだろうが。今はなるべく反感を買わないよう、けなさず、かと言ってほめきることもせず、いいんだか悪いんだか分からないニュートラルな表現を良しとする時代である。だがしかし。この白か黒か、グレーなどは存在しない「最低です」だ。この歯に衣着せぬ言いっぷり。やはり昔の人はエライな。
ともかく、いいにつけ、悪いにつけ、こういうはっきりした物言いを何よりも好むのが私という人間である。そしてその言葉の持つ力が、これは実際確かめなくてはとの突発的行動に駆り立てたのである。

ことほどさように「最低です」は私にとって力強く衝撃的な言葉だった。私も負けずに力強く気張ってトイレを出たのであった。

V.A. - Boogie Woogie Pianos (MCA-3083)
V.A. - Boogie Woogie Pianos (MCA VIM-4638)

※『ジャズの歴史~半世紀の内幕』(東京創元社)は増刷を重ね、その後『生きているジャズ史』と改題してシンコーミュージックから文庫版で出ております。興味のある方はご一読を。

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Comments

はぁ~ あの暑いさなかブギウギを?(やはり常人ではなかった)しかし油井せんせの文章って大人のオッサンをかどわかす?そんなトコロありますネ(ソコが魅力と言えば魅力ですが)

よほど初期のルイスさんに入れ込んでおられたのでしょうかナ、しかしルイスさんもレコード供給者も立場っちゅうモンがありますから、昔のヒット曲1曲にしがみついてる演歌歌手みたいなマネはできなかったのでしょう
そういう試行錯誤から消えていく人 伸びていく人はたまた天才の出現で前進してきた音楽であると思いますが・・
(ホントに大事な部分も埋没されとるから歯がゆい!)

と考えると 案外油井せんせの「最低です」も的を得てるかも、僕も含めリスナーはその音楽が自分にとって◎か×かハッキリ分別されると思いますが たまぁ~に▲ってのも出くわすンですナ(これが一番タチが悪い)って、そんな事ぁ自分のブログでいつか書く事にして やっぱニュートラルってのはこの業界では存在を認めてはいけません!
(長文失礼しました)あ、はいスコシ 酔って・・・ヒック。
 

Posted by: ドクター | Oct 04, 2007 at 00:59

何だか飲み屋で酔っ払いのおやぢに絡まれてるような(笑)。
ニュートラルな表現になる理由は、反感・反論されるのがいやだとか、あるいは聴きようによってはいいと感じるかも(ドクター殿が言うところの▲ってやつですな)とか、まあ、人それぞれいろいろ理由はあるんでしょうが、結局のところそこそこ褒めてお茶を濁すみたいなことになっているわけで、私個人の好みで言うとこんなのが読んでいて一番つまらないっすね。
う~む、でも何だか自分で自分の首を絞めてるような…(苦笑)。私も酔っ払っているのでお許しを。あ、まだ昼前か。

Posted by: ca-Ym | Oct 04, 2007 at 11:46


 昔だれかが
  「嫌いです」
  というよりも
  「興味ありません」
  というほうが
  それに対する嫌悪感が数倍になって
  相手に伝わる
 というようなことを書いていました
 いや ふと思い出しただけなんですが...

Posted by: がちゃこ | Oct 04, 2007 at 22:04

「興味ありません」だと、取り付く島もないといった印象ですけど、
「嫌いです」はまだ何とかなりそうな予感がありますね。
え? 何の話だって?
いや、気を寄せている女性に言われたら、と考えてたんですが。
しかし「興味ありません」ぐらいで、引っ込んでいては
男はつとまりません。
やはり「二度と付きまとわないで」と言われるまで行くのが
男ってもんです(笑)。

Posted by: ca-Ym | Oct 05, 2007 at 09:30

「興味ありません」っちゅう事は「無視」っちゅう事ですがナ、で、「嫌いです」はまだ何とかなりそう?(甘ィっ!)
陛下どんな店行ってはりますのン?
可能性を求めてお金は使いましょ、別のスナックいきましょ、(この辺の切り替えが早いドクです)

しかし陛下も意固地なトコロありそうだからなぁ~
ストーカー扱いされて警察に突き出されて家族会議まで
開かれて・・・いやソコまでのオトコの執念っちゅうのは
紹介される音源から十分伝わってきますが・・・
(日頃から見習わにゃならン)と思ってます,
あ、はい今日は早めから飲ってます。

Posted by: ドクター | Oct 05, 2007 at 20:17

甘い? え、そうなの? 
そういえば、昔からよくニブイって言われてたけど、
あれは冗談で言ってたんじゃなかったのか…。
ふむ。では、次回から別のスナックを攻めます。

Posted by: ca-Ym | Oct 05, 2007 at 21:56

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