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Dec 31, 2007

2007年を振り返って(5)

今年は古本に関する本を何冊か読んだ。といっても古本に特に興味があるわけではない(少しはあるけど)。古本は学生の頃、探している本が絶版で手に入らなくて何度か古本屋に足を運んだことがある、という程度。べつに新刊で買えれば普通の書店で買っている。
『関西赤貧古本道』(山本善行/新潮新書)は古本の魅力、その探索法、いかに安く買うか、高く売るか、また古本界の現状と、古本に興味のない私のような人間にとってはどうでもいい内容なのだけれど、しかしこれが面白いのだなぁ。
どういうことかというと、コレクターとしての日常の行動のあり方やその習性、またコレクトにまつわる苦楽が、中古レコードを蒐集するという物好きな行為に相通じるところがあるというわけなのだ。つまり、この古本という部分がそのまま中古レコードに置き換えられるわけで、読んでいるとこれはもう自分の姿のようでもあり、実に共感共鳴できるのである。

本文から少し引いてみる。
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後藤亮『正宗白鳥 文学と生涯』(昭和四十一年、思潮社)。函はないが、百円とは。持ってはいるが見逃すこと、見送ることができなかった。この本など、帰りの電車でぱらぱらと読み返したい本だ。持っている本を何冊も買うというのは、優れた作品に限られるのだ。
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実に分かるのである。この「持っている本を何冊も買う」というところ。もう痛いほど。私の場合、ヤズーのチャーリー・パットンがそうなのだ。あの赤いジャケットの2枚組。全部で4セット持っている。うち一つはセカンド・ヴァージョンの水色のジャケットだけど。あー痛い。
いや、高ければ買わないのだ。持ってるんだから。でも安いとついつい。1200円とかで出てると、それはないだろうと。こんな値段で他人に拾われるくらいならこの私が、というわけなのだ。

レコードを蒐集する際、何かに付けやれ高いだの、ダブリがどうだの、聴ければ何でもいいではないかだのと、つまらんご託を並べては買い逃したことの悔しさをごまかしてきたが、もうやめよう。古本道と同じ、中古レコード道もその道はなかなかに険しいのである。懐がさみしいのは相変わらずだが、来年は量より質でいきたいと思う。

最後に私の座右の書、粟村政昭氏の『ジャズ・レコード・ブック』から次の一文を。
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見つけた時に万難を排して購入する果敢さと、最上のものが現れるまで待つ忍耐強さ--これがレコード・コレクションの秘訣であり妙味である。
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ではよいお年を。

Django

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Dec 27, 2007

2007年を振り返って(4)

Carolina_slim

Pヴァイン盤、サニー・テリー&ブラウニー・マギーのSIW/Jax録音集のディスク・レヴューを書いていたときのこと、ちょっと気になってブラインド・ボーイ・フラーを聴いてみた。もちろんこれはマギーがフラーから受けた影響云々ということからなのだが、聴いてるうちにいつもの悪いクセでさらにイースト・コーストものへと想いは広がり、その方面のレコードにまで手が伸びかけたのだけれど、「イカン、原稿から脱線してしまう」と、何とかその場は踏みとどまったのだった。そして脱稿後、これで心置きなく聴けるなあと、まず取り出したのがキャロライナ・スリムだった。

ところで一口にイースト・コーストと言ってもその範囲はニューヨーク~ワシントンからヴァージニア、ノース/サウス・キャロライナ、そしてジョージアとかなりの範囲におよぶ。そしてそこからはブラインド・ブレイクやマクテル、そしてバーベキュー・ボブといった戦前ブルースのビッグネームが排出されているわけだが、しかし戦後となるとどうだろうか。普段からヴィンテージ・ブルースを愛聴しているブルース・ファンでも意外と手薄なところではないかと想像するのだが。
例えば。ダン・ピケット、ラルフ・ウィリス、ゲイブリエル・ブラウン、ダグ・クァトルバウム、スティック・マギー、ビリー・ブランド、それからこの間当ブログで取り上げたボブ・ガディといったところは戦後のイースト・コースト・ブルースマンとしては比較的名前が通っているところだと思うが、これらの音をスッと頭に思い浮かべることができるだろうか。私は、まあ辛うじて、という程度。

戦後のイースト・コースト・ブルースは、大雑把に言ってフラーの流れを汲むカントリー・ブルース派と、主にニューヨークで活況を呈することとなったR&Bサウンド派の二つのグループに分けられる。今回挙げたキャロライナ・スリムは弾き語りが中心のカントリー・ブルースマンだが、フラー調あり、またライトニン丸出しのダウンホーム調ありと、没個性というか、はたまたそれを個性と言うべきか。言い換えれば、地域色が希薄と言われる戦後イースト・コーストを代表するブルースマンと言えるだろう。

さて、「2007年を振り返って」ということなのだけれど、この茫洋としたイースト・コースト・ブルースを何とかモノにしようと、現在まだ再履修の最中。当然、全課程を年内に終えるのは無理。来年へとつづく。

Carolina Slim - Blues Go Away From Me (Savoy SJL1153)

このサヴォイ盤はシャープのリイシュー盤となる。当然ながらシャープ盤は私には手が出る代物ではない。

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Dec 19, 2007

ふ、ふざけるなっ!

数日前、クレジット会社から11月利用分の請求書が届いた。封を開け、金額を見て頭が真っ白になった。じゅ、じゅうはちまん……。な、何だあ、これは!!
いまだかつてクレジットカードで月5万を超えるような使い方をしたことはない。それが、じゅ、じゅう…。落ち着いて明細を見ると「CONTINENTAL」に15万6千円とある。まるで身に覚えがない。ふ、ふざけるな! 頭に血がのぼると同時に気持ちはかなり動揺している。12月25日引き落としだ。
フィッシング詐欺という言葉が頭をよぎった。しかしウイルスソフトは入れてあるし、それにいかがわしいようなサイトに出入りすることもない。もし何かの拍子に入ってしまったとしても、ウイルスバスターが知らせてくれる。実際、最近何回か警告表示が出たことがあった。もちろん、警告が出たサイトからは直ちに立ち去ることにしている。
とにもかくにもクレジット会社に電話をしなくては。時計をチラと見ると5時半。
くそっ、やっぱりだ。営業時間外とのアナウンス。受付時間は9時から17時までとのこと。あー、オレはこの不安な気持ちを抱えたまま一晩過ごさねばならんのか。
食欲はわかず、何も手に付かない。この地球上のどこの誰だか分からないヤツのおかげで。これはひどいストレスだ。

いろいろ考えても仕方がないと自分に言い聞かせ、その日の晩はネットで類似の事例がないか検索することにした。とにかく一番の気がかりは、この支払い義務が自分にあるのかどうかなのだ。
あるサイトによると、盗難等による被害の場合は補償されるが、ネットを通じて不正利用された場合は補償の対象外となる、とある。いーっ! そうなのか。他のサイトも見たが、概ねそのような主旨のことが書いてあるところがいくつか出てきた。
この年の瀬にこんな大金を支払わされたら、一体正月どうやって過ごしたらいんだオレは!

翌朝一番に電話を入れた。果たしてその返答は。
「ご安心ください。支払いは早急に止めます」とのこと。
あ、ありがとうございます! 心の中で思わずそう叫んだ。
念のため、その後のカードの利用状況について調べたところ、何と12月にも同じく「CONTINENTAL」で9万円の請求が2回、計18万円上がっているらしい! コ、コノヤロー!! もちろん、これも止めてくれるそうだが。
それにしても、一体どこのどいつだ。とっ捕まえてギタギタに…(無理、無理)。
しかしネットの情報には肝をつぶしたが、カード会社の実に頼もしい対応に夕べまでの心労もいっぺんに吹き飛んでしまった。
「あー焼酎ロックが旨い!」
私って、立ち直りの早い人間なのだなあ。

「CONTINENTAL」というのは、コンチネンタル航空のことだった。そういえばken-Gさん、コンチネンタル航空使ってニューオーリンズで豪遊してきたんだったよな…。あ、いや、これは本文とはなんの関係もありません(笑)。

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Dec 11, 2007

2007年を振り返って(3)

Mcclennan

がちゃこさんのところでマクレナンのフライライト盤を見て思い出した。そうだった、私もマクレナンを買ってたなあと。というわけで、今回は記憶からすっかり飛んでいた1枚を。
手に入れたのは今年の1月だったか。値段はよく覚えていないけど、まあ、私が買ったんだからそんなに高くはなかったはず。「記憶から飛んでいた」というのは、買って1回ほど聴いてそのまましまい込んでしまったからで、つまりそれはマクレナンにはそれほど思い入れがないからなのだが。
がちゃこさんは「聴くと恐怖で背筋がシャキッとする」と書かれていて(うまい表現!)、まったくそのとおりだと思う。だけど私はあの恫喝的歌声を聴くと背筋を正す前にコソコソと逃げだ出したくなってしまう気の小さな人間で、だからその良さは十分認めつつも、これまで今ひとつのめり込めなかったというわけなのだ。
考えてみれば、このレコードはマクレナンを愛するがちゃこさんに拾ってもらった方が幸せだったろうなあ。

さて、下の画像は今月届いたCD。

Dec_07

左上はモダン音源を使ったコンピ、“Mellow Cats 'N' Kittens”のシリーズ4集目。今回も実にナイスなジャイヴ/ジャンプ/R&Bが満載。未発表曲は6曲だが、初めて耳にする音源がほとんどなので、私にとっては初出も既出も関係ないといったところ。
ここでディスク・レヴューをやらかすつもりはないので、詳しくは書かなけれど、1曲目のフェリックス・グロスはブルー・ムーンの単独盤には未収録だったもの。ちなみに旧版の『BLUES RECORDS』には載っていなかったが、新版(電話帳みたいなやつ)になって追加されたいる(アンイシュード)。で、これがタイニー・ウェッブのギターが大活躍、本盤中最もインパクトのある曲となっている。
他にもギターが前面に出たナンバーが多く、ギター・ファンには嬉しい内容となっている。第5集もリリース予定ありとのこと。

エラ・メイ・モーズは50年代の録音集で、あまり興味が沸かないかもしれないが、ジミー・ブライアントの参加したトラックがあり、神業的スティール・ギターが聴ける。他にもバーニー・ケッセル、ジャック・マーシャル、ボブ・ベインとマニア好きするギタリストの名が並び、これまたギター・ファンは要チェックかも。

ミッキー・ベイカーは…。長くなるので省略。

Tommy McClennan (RCA 130.274) [10"]
V.A. - Yet More Mellow Cats 'N' Kittens (Ace CDCHD 1174)
Mickey Baker - In the '50s: Hit, Git & Split (Rev-Ola CR Band 29)
Ella Mae Morse - In the '50s: Razzle Dazzle (Rev-Ola CR Band 30)

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Dec 09, 2007

2007年を振り返って(2)

Excello8005

どうせダメだろうと思いつつ、冷やかし半分でビッドしたら落ちてしまったという物件。一応エクセロのオリジナル12"。ハーポのこの盤は、けっこうな値が付いているのを時々見かけるけど(ヤフオクにもスゴイ値で出てる)、10ドルちょっとで落ちてしまった。こういうことって、あるんだなあ。レコードの神様、ありがとう!
ハーポの魅力っていうのは、あの「ほのぼの」にあるわけだけど、このアルバムは“Rain In My Heart”なんかに比べると全体的にもうちょっとスパイスが効いていて、それが微妙によいのだ。名盤。

話は変わるけど、先日、国内某中古レコード店から新入荷アイテムの案内メールが来た。見るとスピリッツ・オブ・リズムのJSP盤が載っている。で、値段をみて驚いた。何と6,000円!
そりゃ何をいくらで売ろうと店の勝手ではあるけれど、これはちょっといかがなものであろうか。それとも今はこれくらいが相場なのか。そういえばスピリッツのJSP盤、最近見ないし。ジャイヴ・ファンは足元を見られているってことか。
しかし、コレクター連中には有名な店という先入観からか、そんな値段でもしばらく見ていると何となく説得力があるように思えてくるから不思議だ。いやいや、やはりいくらなんでもそれはないよな、JSPだよ。
でも、どうやらすぐに売れたようだ。私のもこの際売っちまうか。誰か5000円でどう?

Slim Harpo - Baby Scratch My Back (Exello LP 8005)

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Dec 07, 2007

2007年を振り返って(1)

Roulette25200

2007年師走。今年1年を振り返って記憶に残る音源をいくつかピックアップしようかと。総決算ってやつです。
と言いながら、いきなり昨年の話で何だけど、昨年リリースのアトラス音源を集めたコンピ“Atlas Blues Explosion”(Empire)は、2006年の私的ベスト5に入る1枚だった。Hボム・ファーガスンとルイジアナ・レッドを除くと、オブスキュアなブルースマンがほとんどだが、私好みのロッキン・ブルース満載(そればかりじゃないけど)で、しかも初CD化音源多数という、リイシュー・コンピの鑑のような好盤であった。
そんな中、特に感心したのが無名ブルースマン、ではなく知名度のあるルイジアナ・レッドだった。レッドに関しては、恥ずかしながらマディとジョン・リー・フッカーを足して2で割った、くらいの認識しかなかったのだが、このアトラスに残したたった1枚のシングル盤が実に私の関心を誘う素晴らしい出来だったのである。
さて、そうなると早速レッドの単独盤へと気が急いてくるわけである。レッドの単独盤というとルーレットとアトコ盤くらいしか思い浮かばない。どっちも持っていないのだが、『BLUES RECORDS』を引くとアトラスが60年でその後にルーレットが62年と続いている。となれば、まずはルーレットの“The Lowdown Back Porch Blues”だなという結論に。
アマゾンを見ると別テイク他を盛り込んだSequelからのリイシュー盤は残念ながら廃盤。それともう1枚、コレクタブルズからもストレート・リイシューで出ているが、これは「コレクタブルズなので」買いたくない。
こうなると、LPを探すしか道はない。だけど知らなかったんだけど、このルーレット盤、結構いい値が付いてるのである。しかし、そのことが逆に購買意欲をそそることに。
eBayにてチャレンジすること3回。結果は画像のとおりである。価格は運が良かったこともあるが(詳しい話は割愛)、国内盤の新品CDを買うくらいの値で落札できた。
内容はクール。この一言である。

Louisiana Red - Lowdown Back Porch Blues (Roulette R 25200)

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