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May 28, 2008

一歩前進二歩後退

Hokum_blues

ドキュメント・レーベルは「Out Of Stock」となっているアイテムの再プレスをボチボチとではあるが順次行っている。しかし、やはり需要のあるものが優先なのであろう。私が前々から心待ちにしているアイテム、『Hokum Blues』(DOCD-5370)はもう何年も廃盤のまま、再プレスはちょっと難しいかもしれない。
その盤だが、ホウカム系の音楽を集めたコンピで、収録アーティストは見たことも聞いたこともないものばかりである。しかしその名前がウクレレ・ボブ・ウィリアムス、ダニー・スモール・アンド・ウクレレ・メイズにザ・ペブルスと、どれもがその筋の人間(特殊とも言う)に何かを予感させずにはおれない名前なのである。
しかし、出ないものは仕方がない。それじゃ中古盤でもと思って気を付けてはいるが、それもまるで見ない。以前アマゾンに1枚だけ出ていたが、とても1枚のCDの値段とは思えないような価格であった。
ところが先日、偶然にも見つけてしまったのだ。それがLPなんだが。収録アーティストを見たところ、CDとほぼ同じなので問題ない。ドキュメントのことだから当然LPで出ているはずとは思っていたが、やっぱりあったんだなあ。
早速聴いてみたが、感想は、これはやっぱり再プレスしても売れんな、であった。

先週届いたCDは2枚。どちらも新譜で、一枚はヘップ盤、スリム・ゲイラードの『Ice Cream On Toast 1937-47』。もう一枚はドキュメントからルーファス・トーマス。今月はこれで15枚くらいか。もう来ないはずだけど、ひょっとしたら、あれとあれが。今月もまた予定数を若干オーバー。

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May 24, 2008

近くて遠い(続き)

Mississippi_john

知名度が高いわりにはなぜかそれほど聴かれていない、近くて遠いブルースマンがいるという話の続き。
前回、ビッグ・ビル・ブルーンジーがその一人であると、何の証拠もなく、いわば私の思い込みでそうだと断定した。ついでにミシシッピ・ジョン・ハートも。ただハートの場合、ブルース・ファンはともかくフォークソング・ファン・サイドからは支持、または聴かれているのかも。知らないけど。
ビッグ・ビルやハート個人のことは別にどうでもいい。問題は、なぜそんなことが起きるのかということである。ブルース、もっと大きく洋楽と言ってもいいかもしれないが、つまり外国から輸入された音楽は、改めて言うまでもなく、向こうの文化土壌、あるいは感性といったものの上に作り上げられている。もちろん、だからと言って東洋人には理解できないかというと、そういうこともない。ビートルズの例を出すまでもなく、人類共通の美意識というものによって、その良さが認められているケースはいくらでもある。しかしやはり、本国でいくらウケようが、またビッグな存在であろうが、我々にはイマイチ理解できないものも当然ながらあるのである。

私が高校生のときの話だが、ロック系のラジオ番組(確か渋谷陽一がDJだったと思う)を聴いていたところ、その日の特集が「なぜか日本でウケないアーティス」だった。いくつかのアーティスト/バンドが挙がったはずだがほとんど覚えていない。しかし鮮明に記憶されているのが一つあって、それがザ・フーだった。今でこそフーはちょっとしたものであるが、当時は妙に納得させられるナイス・チョイスであった。
さて今、「今でこそ」とつい書いてしまったが、フーって本当に今では日本で市民権を得ているんであろうか。フーに対して発せられる「フーっていいじゃん」という言葉は一見「フー」に主語があるように思える。しかし、話の中身をよくよく吟味してみると、これは「フーがいい」と言っているのではなくて、「フーがいいと言っているオレ」なのである。つまりこの言葉の主軸は「オレ」なのである。ちなみにフーの部分はロバジョンに置き換えてもある意味有効。

戦後60年を経て、日本人の体格は欧米人に見劣りしないほどまでに成長した。しかし、本場と日本人の間にある感性の溝は未だ埋めがたいものがあり、その微妙なギャップが「近くて遠い」を生んでいるのある。そしてまた、近年急速に埋まりつつあるかに見えたその溝も、実のところはオレ的自己欺瞞(単なる外国かぶれかもしれんが)によって、なにか新たな厄介を生んでいるような気もするわけである。
なんか話が理屈っぽいな。もうやめます。

画像はミシシッピ・ジョン・ハートのLP2枚。左はスポケーン盤。内容は右のヤズーとまったく同じで(曲順は違う)、1928年のセッションをまとめたもの。ジャケットは左の方が好みだが、音はヤズーの方がいい。

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May 21, 2008

近くて遠い

Big_bill_broozy

長年探していたレコード、あるいは珍しいレコードが思いがけず安く手に入ったときは、これはもう無条件に嬉しい。
ビッグ・ビル・ブルーンジーのあまり見かけないエマーシーの10インチ盤、『Folk Blues』が先日かなり安く手に入った。いや、安かったと思う。多分。実を言えば、この盤は二三度見たことがあるという程度で、そのときの価格を基に「安かった」言っているだけなので、実際のところはよく分からない。
それはともかく、このビッグ・ビルを買ったのはただ単に安かったからで、高ければ買わなかった。と、さっきからやたら「安かった、安かった」と、貧乏くさい話になっているが、つまり単にそういう理由で買っただけなので、嬉しさも中途半端なら、得したという気持ちも中途半端なのであるが、というのもだ。ビッグ・ビルってどうなんでしょう。どうなんでしょうと言われても困るか。ビッグ・ビルという人は、その名前の大きさのわりにはそれほど聴かれていないような気がするのだが。
エピック盤『Big Bill's Blues』はビッグ・ビルを代表する1枚としてよく取り上げられるけれど、しかし取りあえずそれだけ聴いて終わりというようなことになっていないだろうか。あれだけ膨大な録音があるというのにもかかわらず。
かく言う私も持っているのは10枚くらいだろうか。昔、わりと熱心に聴いた時期もあるが、今はもうさっぱりである。なんか有り難みがないのである、ビッグ・ビル。それとも日本だけか。欧米じゃ人気があるんだろうか。その伝で言えば、ミシシッピ・ジョン・ハートもそうかも。

ところでこのレコード、B面の収録曲を見ると「ベッシー・スミス」「リロイ・カー」「リチャード・ジョーンズ」というお馴染みの人名が曲のタイトルとして並んでいる。最初、ビッグ・ビルのオリジナル・チューンかと思ったが、聴いてみたらなんのことはない。それぞれ「バックウォーター・ブルース」「ホエン・ザ・サン・ゴーズ・ダウン」「トラブル・イン・マインド」だった。何で、こんなことになってんだ。

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May 11, 2008

眠れぬ夜に

Fontana

あぶら汗をかきながら何とかレヴュー原稿を書き上げ送信。時計を見るともうすぐ深夜0時になるところだった。
先日、古本屋(と言ってもブックオフだけど)にて、遠藤周作『眠れぬ夜に読む本』、油井正一『ジャズ~ベスト・レコード・コレクション』、寺島靖国『愛と哀しみのジャズ・カタログ』を買う。いずれも文庫で105円。油井氏のこの本が105円というのは、ちょっとあんまりじゃないかと思うが、これもブックオフならではか。
しかし同じ中古でも本は安いなあ。もっとも、ものにもよるわけだけど、それにしたってレコードではこうはいかない。ま、たまに100円均一とか200円均一とか書かれた段ボールに詰められたレコードが、これで売れなきゃ廃棄処分と言わんばかりに床に放置されているのを見かけることもあるけど、そんなところにブルーノートやプレスティッジがあるわけもなく、大抵は歌謡曲みたいなのばかり。あー古本は庶民の味方だ。ビバ古本!

閑話休題。久しぶりにフォンタナ盤『Nothin' But The Blues』を引っ張り出して聴いてみた。特に理由はない。たまたま目に入っただけ。しかし、この盤で思い出すことが一つある。
昔、佐々木健一さんがこの盤に入っているジョニー・ダンの「フォー・オクロック・ブルース」を取り上げてあれこれと書いていたことがあった。かなりのボリュームで、それはネットワークの佐藤氏の手によって一冊の冊子にされて発表されたのだけれど、内容はロバート・ジョンスンの「フロム・フォー・アンティル・レイト」はこの曲から派生した曲で、といった話から始まり、そして無数とも言えるこの曲のカバーを取り上げ、訳詞しながら比較検討するという、重厚にして長大、まるで大河ドラマの如きものであった。あれはもう一昔前の話か。
ところでこのレコードは、バーベキュー・ボブからエリントニアンのソニー・グリアまでが同居するという節操なきオムニバス盤だが、そこに一人、トロンボーン・レッドという謎のジャズメンが潜り込んでいる。この人は1枚のレコードしか残していない。つまり2曲だが、そのうちの1曲がここに入っている「Bフラット・ブルース」で、今回聴き返すまですっかり忘れていたが、これが実にガットバケットしているのである。
うーむ、そうなのだ。オムニバス盤にはこのテの面白い発見があるのだ。選曲・編集の妙から生まれる味わいといったものはオムニバス、つまりLPやCDならではのものである。当たり前だが、シングル盤やSPではこの楽しさは味わえない。ビバ、オムニバス!

あと、夕べはリトル・ブラザー・モンゴメリーを。私のフェイヴァリット。聴いたのはブルーバードの2枚組LPで、これは私のお宝盤。別に珍しくとも何ともない盤ではあるが。
で、これをラジカセ(今時そんなもの誰も持ってないか)でもiPodでもMDでも、別に何でもいいんだけど、ダビングしておいて、シンとした深夜、枕元で鳴らすとしみじみと実にいい。眠れぬ夜に、よかったらお試しあれ。

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