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Dec 31, 2008

Nobody Knows My Name

Ht304

フィールド・レコーディングといってまず思い浮かぶ人物といえば(つうかほとんどこの人の名前しか思い浮かばないと思うけど)、ジョンとアランのロマックス親子ではなかろうか。だがもう一人、彼ら親子ほどの知名度はないものの忘れてならない重要な人物がいる。ローレンス・ゲラートである。
ゲラートが初めてレコーディングを行ったのは1924年、サウス・キャロライナにおいてと言われている。と実にあやふやなわけであるが、というのも彼が採集した録音は、レコーディング場所は州名しか明かされておらず、また日時も怪しく、さらにはどれも歌い人知れずとなっているのである。
ゲラートが録ったのはプロテスト・ソングだった。中には痛烈な社会批判を含むそれらの録音は、匿名を条件とすることによって演奏する者にどんな内容のものであろうと遠慮なく歌えるという安心感を与え、そしてその結果、偽りのない真の歌や演奏を録ることに成功したのであった。
ゲラート・コレクションのどれもが胸に迫ってくるのは、作り物ではないホンモノの力に満ちているからなのである。

ゲラートが採集した録音は画像のヘリテージ盤のほか、ラウンダーにもある。ヘリテージ盤はドキュメントにてCD化(DOCD-5599)されている。

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Dec 20, 2008

Malvina My Sweet Woman

Malvinamysweetwoman

もうかれこれ10年以上前の話。インターネットはまだそれほど普及しておらず、まだまだパソコン通信(懐かしい!)が盛り上がっていた頃、『ザ・ブルース』のライターとして知られる棚橋善夫さんとネット上で知り合うきっかけを得、いろいろとご教示いただいたことがあった。その一つにビッグ・ジョー・ウィリアムスの戦後録音についてこんなやりとりがあった。
どういう経緯でビッグ・ジョーの話になったのかは覚えていないが、私がビッグ・ジョーの戦後録音について、「パイニー・ウッズにしろ印象が今ひとつ」と発言したときだった。棚橋さんが割って入ってこられたのである。「あー、それは誤解だよ」。50年代前半のものにはトランペット録音をはじめ、すごいのがあるのだと言われるのである。
それを聞いて私すぐに「あ!そうだった!」と。Pヴァインのトランペット録音を収録したCDは私の愛聴盤だったのである。
さらに棚橋さん曰く。その時代の録音というとトランペットの他にスペシャルティがあるけど、それよりすごいのが51年にセントルイスで録音されたやつで、これはオランダのOldie Bluesから『Malvina My Sweet Woman』というタイトルで発売されている。音は最悪だが、内容はスペシャルティを凌ぐ素晴らしい出来である。
うーむ。そうと聞いてはもう居ても立ってもいられない。早速血眼になってレコードを探したのだった。
なんてことを先日ビッグ・ジョー・ウィリアムのトランペット録音を聴いていて、「あーそういえば」とふと思い出したのだった。棚橋さんの言にはこれっぽちの偽りもなかった。

私が手に入れた『Malvina~』はペラジャケ・タイプのものだが、ファースト・プレスは1枚ものにもかかわらずボックス・タイプだった。またCD化もされていたが、現在は廃盤のようだ。

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Dec 14, 2008

ジャグ・バンドのレコード (8)

Jug_bands_vol1

メンフィス・ジャグ・バンドぐらいの大物になるとどのレコードを出しても「今さら」なものばかりなので、今までずっと後回しにしてきたのだけれど、しかしこのまま彼らのレコードを1枚も出さずにこのシリーズを終えてしまうのもいかがなものか。などと考えていたら、EP盤ながらこれならどうだというのが1枚出てきたので久しぶりに。
とは言っても今回のこれは彼らの単独盤ではなくて、キャノンズ・ジャグ・ストンパーズとカップリング盤である。ただ本盤には続編があって、そちらはMJBの単独盤となっているようだ(あいにく私はVol.2は持っていない)。レーベルはアルゼンチンのナッチェズ。このレーベルについては、以前クラレンス・ウィリアムスのLPを紹介したことがある。で、その時は気付かなかったのだけど、今回改めて見てみたら裏ジャケットにEP盤のリリース・データが載っていた。トーマス・モリスにロイド・スコット。かなりマニアックなラインナップだと思うが、アルゼンチン人てこういうのが好きなのか。
収録曲はMJBが“Sometime I Think I Love You”“Memphis Boy Blues”の2曲、ストンパーズは“Buggle Call Rag”と“Pig Ankle Strut”で計4曲。

ところでジャケットのジャグだが、なんかどっかの遺跡の出土品か、みたいな雰囲気が漂っており、我々が抱くジャグのイメージとはかなりかけ離れているように感じるのであるが。土器だろ、これじゃ。

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Dec 09, 2008

SING SING SING

Canegie_hall_jazz_concert

もう一カ月ほど前の話になるけど、テレビで「スウィング・ガールズ」を観た。確か観るのは二度目のはずだが、やっぱりいいなあ。いや女子高生が、じゃなくて、スウィングが、だ。もちろん、青春ドラマとしての良さもあるんだけど。
で、やはり見どころは最後の演奏シーン。グレン・ミラー、デューク・エリントン、ベニー・グッドマンと選曲もベタ過ぎるくらいにベタだが、かえってそれがいい。久しぶりに聴く「ムーンライト・セレナーデ」がしみる、しみる。思わず唯一1枚だけ持っているグレン・ミラーのアルバムを引っ張り出して聴いてしまった。あとBGの「シング・シング・シング」も。重厚かつ優美に迫ってくるホーン・アンサブル。やっぱりジャズはスウィングだ!ビッグ・バンドだ! ギターなんぞが小ざかしくソロをとったりするスモール・コンボなんかは貧乏臭くていけない。

さて、画像はお馴染み、ベニー・グッドマンの『Carnegie Hall Jazz Concert』。私、意外とグッドマン好きで、と言っても聴いてるのはせいぜい40年代までだけど、LPはヴィクター録音を集大成した6枚組ボックスの他、10枚以上は持っていると思う。
で、この青いジャケットの『Carnegie Hall~』であるが、これにはいくつかのタイプがあるのをご存知だろうか。まあそんなことは知らないのが普通だが。
私が持っているのは2枚組Wジャケ(普通の見開きとは違って、二枚のジャケットを黒いテープで貼り合わせた感じで、しっかりとした作りになっている)の初期盤だが、それ以外に同じく2枚組のやや長方形のロングボックスタイプのもの、収録曲数はまったく同じの3枚組ボックスセット、そしてVol.1/Vol.2とバラ売りタイプのもの、さらにEPボックスと、私が知っているだけで5種類ある。
それが一体どうしたってことなんだが、『幻の名盤読本』に粟村政昭氏がレコード蒐集の極意について書いたコラムがある。その中にグッドマンのこのレコードに触れられてる箇所があって、氏によると初版のロングボックスが一番音がいいとあるのだ。最近それを読んで一瞬しまった!と。
実は以前、ロングボックスを買ったことがある。もともとWジャケの方が欲しかったのだけれど、たまたまボックスがあるというので、まあそれでもいいかと送ってもらったのだった。レコードが届いて取りあえず棚に収めようとしたら、あれ?棚からはみ出てしまう。そのときは知らなかったのだが、グッドマンのこのボックスは普通のボックスより5センチほど横幅が長いのである。
それで、どうしてもそのことが気に入らず、一度も聴かずにすぐ返品してしまったのだった。普通の店ではこんなわがままな話は通らないだろうが、そこはお馴染みさん、ということで。
中古レコードを上手に買うコツは自分だけの信頼できるいい店を持つことで、そのためには他の店に浮気をせずにコツコツとコンスタントに買って信頼される客になることではないかと思う。

ちょっと調べてみたところ、ロングボックスとこのWジャケはレコード番号が同じ“SL160”となっている。ということはタイプは違えど盤自体は多分同じプレスなのであろうと一人納得しているところなんだが。

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Dec 04, 2008

Guitar Evangelists

Guitar_evangelists

結局、先月は2エントリーだったが、しかしこれは数え方の問題で、前回の記事は13枚の画像を付けている。普段は一記事につき一画像を基本としているので、あれは13回分の記事になるのだ。つまり先月はいつもの月より格段に更新しているのである。
というわけで、早速今回の本題へ。
知ってる人は知ってると思うが、ドキュメント・レーベルのカタログ(あのバインダー・タイプのやつ)は結構重宝していて、「えーと、あれはどのCDで聴けるんだったっけ」とディスコグラフィを引くほどでもないときなど、リファレレンス代わりによく活用している。おかげで表紙が半分ちぎれかかった状態となっている。
カタログの中はCDリストだけでなく、“Document Collection”と称して貴重な写真の他、SPレーベルやLPジャケットなどが数ページにわたってちりばめられている。例えばチッピー・ヒルのSPアルバム、RCA“X”の『Kings Of The Blues Vol.3』、Belzonaなどなど。で、それらの中に一つだけ以前から気になるLPがあった。
『Guitar Evangelists - Vol.1』、レーベルはTRUTH。ジャケット写真はなく、あるのはセンター・レーベルのみ。レーベル写真から判断して、ジョニー・パース関係のものだということは想像が付くが、聞いたことのないレーベルだし、一体どんなジャケットなのか、しかも「Vol.1」とあるし、これはぜひ手に入れたいものだと思っていた。
そして先々月、やっと買うことができた。実は同タイトルのVol.2の方を先に手に入れることができて、それで「あとはVol.1、Vol.1…」と毎日念仏のように唱えていたのだけど、それがよかったのだろう。ほどなくしてVol.1も見つかった。きっとレコードの神様に思いが通じたのだろう。

内容は説明するまでもない。タイトルどおり。ブラインド・ウィリー・ジョンスン、ブラインド・ルーズヴェルト・グレイヴス、I.B.ウェア師、メンフィス・サンクティファイド・シンガーズと、これはもうたまらないものがある。しかしやはり、こうやって並べて聴いてみるとわかるが、ブラインド・ウィリー・ジョンスンのすごさがやはり際立っている。よく知った曲ばかりだけれど、ジョンスンの収録されているA面ばかりを何回も繰り返し聴いてしまった。

ところでこのトゥルースというレーベル、他にはどんなものが出ているのか。今回のこの第1集のレコード番号が1002番となっているので、1001番があるはずだし、もしかすると1000番から始まっているのかも。あー気になる。
どなたかご存知の方がいたらご教示ください。

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