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Dec 18, 2009

クラリネット衰退論

Tonnyscott

スウィング期までは花形楽器であったクラリネットだが、ビバップ~ハード・バップ期に入るとその軽妙な音色も逆にやや貧弱、次第に力不足の感を強め、徐々にリッチなトーンを持つサックスにとって替えられるようになったというのがジャズ史におけるクラリネット衰退への歩みである。

別に異論があるわけではないが、この通説は正直あまりピンとこなかった。というよりも、主に40年代以前のジャズを愛好していることもあって大して意に介していなかったというのが本当のところか。
しかし、先日トニー・スコットの『Tony Scott Quartet』を聴いていて、これがクラでなくてサックスだったら良かったのにと、心底残念に思った。クラを聴いていてこんな感想を持ったのは初めてだった。もしもこれをテナーで演っていたら名盤となっていたのではないか。クラリネット衰退論が初めて理解できたような気がした。

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Dec 08, 2009

平成21年、戦前ブルース新譜

New_arrival

CDとCD-Rは似て非なるもの、との結論を得た。なるほど、そういうことだったのか。今頃、一人納得しております。面目ない。
さて、ドキュメントから新譜が出た。もちろん、戦前ブルース専門のあのレーベルからだ。戦前ブルースの新譜というと(新譜といえるかどうか分からないけど)、ブルース・カレンダーに付いてるオマケCDくらいのものじゃないかと思うが、こっちはオマケじゃなくてれっきとした販売用CDである。平成も21年。戦前ブルースの新譜である。なんだかしみじみするなあ。
ところがだ。これが残念なことにCD-R。そりゃないぜ。どうせiPodに入れて聴くんだろうから関係ないだろ、とでも言いたいのか。だったら、ダウンロードのみの販売にしたらどうだ。いや、ゴメン。iPod持ってません。とほほ。

というわけでまずはチャーリー・バース。オムニバスでは何曲か聴けたが、単独盤は初めてではなかったかと思う。メンフィス・ジャグ・バンドのメンバーで、しかしながらサウンド的にはメンフィス・ジャグ・バンドというよりもハーレム・ハムファッツに近い。
次。英KENTはミッティ・コリア、シュガー・パイ・デサントと、ここ数年まさにかゆいところに手が届くといった女性シンガーのリリースで一部マニアの話題を集めているが、このマキシン・ブラウンはなぜかほとんど口の端にも上らなかったような気がする。なぜだろ。そうか、ならば聴いてやろうという人はこちら
もう一枚のドキュメント盤は省略。

Charlie Burse and his Memphis Mudcats - Memphis Highway Stomp (Document)
Memphis Blues Vol.3: 1927-1930 (Document)
Maxine Brown - Best Of The Wand Years (Kent)

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Dec 06, 2009

フライング・ホームの功罪

Illinois_jacquet

やっぱり、イリノイ・ジャケーは勘違いされている。恐らくこれはジャケーの代名詞とされる「フライング・ホーム」が、元祖ブロワー・サックスとして喧伝されすぎるが故のことだろう。あと、JATPでのあのヒステリックなブロウ合戦とか。
しかし、ジャケーは言うまでもなくそういった狂騒的なプレイばかりじゃない。あくまでも、そういうのもあるってことだ。40年代のジャケーを丹念に聴けば、彼の本質はスウィング・テナーにあったことがわかるし、またバラードを吹かせればベン・ウェブスターに迫るほどの情感溢れるプレイを聴かせるのである。それに大体「フライング・ホーム」にしたってよくよく聴けばそれほどホンカーっていうほどのもんじゃないと思うんだけど。

確かに「フライング・ホーム」やその周辺のほんの一部しか聴かずに「ジャケーは…」なんて言う無責任なリスナーもいるにはいるけれど(ジャケーには山ほど録音があるというのに)、だがしかしこの「勘違い」はリスナーの責任じゃない。例えばアイク・ターナーといえば「凶暴/凶悪ギター」、ルイジアナといえば「ゴッタ煮」としか表現できない失語症的ブルース(ジャズ)評論家に責任があるのだ。
それにしても、そんな評論家の言葉を鵜呑みにしてジャケーのアポロ~サヴォイ録音(いやアラディンだって、クレフ/ヴァーヴだってそうだ)を知らぬままジャズ人生を終えなければならないとは。まったく、お気の毒様としか言いようがない。

The Illinois Jacquet Story (Proper Box)

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