Sep 26, 2009

ジャグ・バンドのレコード (9)

Jug_band_9

久しぶりにジャグ・バンドのレコードです。今回は2枚。1枚目はCoralのEP盤「ジャズ・ミュージアム・シリーズ」から。
『Early Jug Band』とタイトルされた本盤は、オールド・サザン・ジャグ・バンドとフィリップス・ルイジアナ・ジャグ・バンドの二組が収められている。内容的には別段珍しいものではない。両バンドともRST盤、ジャズ・パースペクティヴ・シリーズの『クリフォード・ヘイズ&ザ・ルイヴィル・ジャグ・バンド』のそれぞれ第1集と第4集で簡単に聴ける。余談になるが、ジャグ好きは全4枚からなるこのシリーズはぜひコレクションしておいた方がいい。あるうち買うときや!だ。
CoralのこのEP盤シリーズはもう1枚、アラバマ・ウォッシュボード・ストンパーズ/アラバマ・ジャグ・バンドをカップリングした盤も手元にある。が、これらのバンドは当ブログでは散々取り上げてきたので、今回は省くこととします。

2枚目は、これは果たしてジャグ・バンドといえるか。なぜなら、ジャグ奏者がいないから(ただ、チューバ奏者がいて、これがジャグ的な効果を上げてはいるが)。
では、なぜあえてこれを「ジャグ・バンドのレコード」として取り上げるかというと、中村とうよう氏の次の一文による。
--------
最後に、ストリング・バンドとジャグ・バンドとジャズとのかかわりがそのまま戦後まで生きつづけてすばらしい音楽を生んだ稀有な実例として、ブラインド・ジェイムズ・キャンベルのレコード(Arhoolie F1015)をぜひお聞きになるよう推薦しておく。
「ジャグ・バンドをめぐって」/『ブラック・ミュージックとしてのジャズ』(ニューミュージック・マガジン社)
--------
こう言われれば、とりあえず聞かないわけにはいかない。
「稀有な実例」かどうかは当方、浅薄な知識にて何ともわかりかねるが、「すばらしい音楽」かどうかは、趣味の問題と絡んで意見の分かれるところではないか。私見ではやや平均的。

Early Jug Bands 1924/1930 (Coral 94262)
Blind James Campbell And His Nashville Street Band (Arhoolie F1015)

ガス・キャノンのスタックス盤、ニア・ミントとはいえ、ウィニング・ビッドが800ドルだって。あー。

| | Comments (9) | TrackBack (0)

Dec 14, 2008

ジャグ・バンドのレコード (8)

Jug_bands_vol1

メンフィス・ジャグ・バンドぐらいの大物になるとどのレコードを出しても「今さら」なものばかりなので、今までずっと後回しにしてきたのだけれど、しかしこのまま彼らのレコードを1枚も出さずにこのシリーズを終えてしまうのもいかがなものか。などと考えていたら、EP盤ながらこれならどうだというのが1枚出てきたので久しぶりに。
とは言っても今回のこれは彼らの単独盤ではなくて、キャノンズ・ジャグ・ストンパーズとカップリング盤である。ただ本盤には続編があって、そちらはMJBの単独盤となっているようだ(あいにく私はVol.2は持っていない)。レーベルはアルゼンチンのナッチェズ。このレーベルについては、以前クラレンス・ウィリアムスのLPを紹介したことがある。で、その時は気付かなかったのだけど、今回改めて見てみたら裏ジャケットにEP盤のリリース・データが載っていた。トーマス・モリスにロイド・スコット。かなりマニアックなラインナップだと思うが、アルゼンチン人てこういうのが好きなのか。
収録曲はMJBが“Sometime I Think I Love You”“Memphis Boy Blues”の2曲、ストンパーズは“Buggle Call Rag”と“Pig Ankle Strut”で計4曲。

ところでジャケットのジャグだが、なんかどっかの遺跡の出土品か、みたいな雰囲気が漂っており、我々が抱くジャグのイメージとはかなりかけ離れているように感じるのであるが。土器だろ、これじゃ。

| | Comments (9) | TrackBack (0)

Mar 02, 2008

ジャグ・バンドのレコード (7)

Jug_bands

久しぶりに「ジャグ・バンドのレコード」を。ていうか、更新すること自体が久しぶりなわけだけど。
今回の『The Jug Bands』は、日本ビクターの「ジャズ・コレクターズ・アイテム」シリーズの1枚として出されたもので、おそらく戦前ジャグ・バンドのコンピとしては国内で唯一と言っていいのではないだろうか。発売は1965年、当時の定価は1500円。もちろん私は中古で手に入れた。確か2000円くらいだったような。
このシリーズだが、RCAの10インチ盤"X"シリーズを元に油井氏の監修によって再編集されたもので、全部で十数枚リリースされている。多分。スイング・ジャーナル増刊『ジャズ・レコード百科'73』に「世界をリードする日本のジャズ・レコード」というタイトルの誌上座談会が掲載されており、そこでこのシリーズについて若干触れられている。座談会の参加者は油井正一、児山紀芳、粟村政昭他。そこでの話によると、このシリーズは日本ではあまり売れなかったそうだ。しかし、トニイ・レコードの西島氏が海外の雑誌に紹介文を書いたことが発端となり、アメリカ、ヨーロッパからかなりの注文が寄せられたとのこと。そして、本シリーズに刺激を受けて作られたのがワインのジャケットでお馴染みの米国RCAのヴィンテージ・シリーズであると語られている。

本盤に収められているのはディキシーランド・ジャグ・ブロワーズとメンフィス・ジャグ・バンド、それにウォッシュボード・リズム・キングスの3組で、要するにこれは"X"盤の“Background Of Jazz Vol.1”(LX-3009)と“Washbaord Rhythm Kings”(LVA3021)の2枚をカップリングしたもの。これら3バンドについては、当ブログでは再三触れているので、ここでは割愛。ではまた。

V.A. - The Jug Bands (Victor RA-5343)

| | Comments (4) | TrackBack (0)

Jan 26, 2008

Washboard Rhythm

Washboard_rhythm

例年、1月はあまりパッとした新譜のリリースがない。ちょっと手持ち無沙汰な感じがあるわけだが、しかし新譜に追いまくられて消化不良というのも精神衛生上よろしくないし。なんか、金はあるけど時間がないというのと、時間はたっぷりあるけど金はないのとではどちらが幸せか、っていうのと似てるか。まあ、どうでもいいか。
そんなわけで、今月は昨年暮れに仕入れたFROGのレム・ファウラーやHip-O Selectのボ・ディドリーを聴いておりました。あと、LPではエイス・オブ・ハーツの『Washboard Rhythm』を。これはファウラーのウォッシュボード・バンドものを聴いているうちにふと聴きたくなって久しぶりに棚から引っ張り出したみたというわけだけど、そういえばこのレコードがお気に入りの1枚だっていう人が私の回りにけっこう多い。えーと、佐々木さんに魚ちゃん…。って言いながら結局この二人だけしか思い浮かばんな。ってことはスキモノ御用達の1枚ってことか。
そんなことはともかくLPの中身だが、やはりジミー・バートランドのウォッシュボード・ウィザーズ、いいなあ。何度聴いてもドッズがすごい。彼のベスト・プレイの一つだろう、これは。それからクレランス・プロフィットとテディ・バンのアラバマ・ウォッシュボード・ストンパーズ。“Pepper Steak”がこれまた「うーん、たまらん」というくらいにいい。
などと感心していたら、そういえばストンパーズは単独盤があったなと。それでまた早速取り出して針を落とすとジェイク・フェンダースンのカズーの野卑さと哀愁を帯びたヴォーカルのコントラスト、そしてそこに絡むテディ・バンのギター。「あぁ」と深いため息ひとつ。ところでこのアルバムはA.W.S.(ガーデニアかも)というオランダのレーベルからのものだが、同レーベルにはこのアラバマを含めてウォッシュボード関係のアルバムが全部で4枚(と思う)ある。ウォッシュボード・リズム・キングス、ジョージア・ウォッシュボード・ストンパーズ、ウォッシュボード・リズム・ボーイズが残りの3枚。今はすべてCDで聴けるが、いずれもコンピでなく単独盤となっていて当時は貴重なものだった。ジャケットがちょっと何だけど。
うーん、これ以上書いてもまとまりそうにないな。ま、別にまとめる必要もないわけだけど、今回はウォッシュボード・バンドもののこんなレコードがありましたってことで。

Wrk

Washboard Rhythm Kings 1932-1933 (W.R.K. 4011)
Georgia Washboard Stompers 1934-1935) (G.W.S. 4012)
Alabama Washboard Stompers 1930-1932 (A.W.S. 4013)
Washboard Rhythm Boys 1933 (W.R.B. 4014)

| | Comments (12) | TrackBack (0)

Jul 26, 2007

ジャグ・バンドのレコード (6)

Jazzy_jugs

ジャグ関連のオムニバス盤というと正直どれも似たり寄ったりだけれど、そんな中今回はちょっと毛色の変わった1枚を。
本盤はタイトルにある“Jazzy”というのがミソ。つまりジャズっぽいジャグ/ウォッシュボード・バンドというわけだが、ただ大半を占めるのはジャズ系ウォッシュボード・バンドで、ほとんどが「ジャグ抜き」ではある。しかしウォッシュボード・バンドとジャグ・バンドを分けて聴いたり考えたりするのもちょっとどうか、というわけで、これも「ジャグ・バンドのレコード」の1枚としたい。

さて、そんなジャグ抜きの中「ジャジー・ジャグ」の名に相応しいバンドとして収められているのがクラレンス・ウィリアムス率いるアラバマ・ジャグ・バンドである。メンバーはエド・アレン、ウィリー“ザ・ライオン”スミス、セシル・スコット、“バンジョー”アイキー・ロビンスンと、玄人受けを狙ったかのような面々。ま、肝心のクラレンス・ウィリアムスのジャグがイマイチ音が出ていないし、息切れする場面もあるが、さすがこのプレイヤーによるアンサンブル。唸らされることしばしばである。
一方、ウォッシュボード・バンドではジョージア・ウォッシュボード・ストンパーズステイト・ストリート・ランブラーズ(後者はウォッシュボード・バンドとは違うかもしれないけど。しかしともに必携!)というビッグネーム(?)が並ぶ中、ジェイムズ・コールズ・ウォッシュボード・バンドの燻し銀の1曲が異彩を放つ。

ブルース・フィールドからはタンパ・レッドの「タイト・ライク・ザット」(ハーフ・パイントがヴォーカルをとったヴァージョン)やカンザス・ジョー・マッコイが採られているが、「ジャジーな選曲」としてはうなずけるものとなっている。
MCAのジャズ・ヘリテージ・シリーズはどれもジャケがパッとしないが、内容はいい。

V.A. - Jazzy Jugs And Washboards (MCA 1372)

| | Comments (4) | TrackBack (0)

Apr 01, 2007

ジャグ・バンドのレコード (5)

Smjb

早くもネタ切れの感も強い「ジャグ・バンドのレコード」ですが、いや別にもうレコードがないというわけではない。わざわざ取り上げるからにはちょっと珍しめのものを、なんていうケチな見栄を張ろうとして自分で勝手に苦しんでいるというだけのことで。
で、前にキャノンズ・ジャグ・ストンパーズを取り上げたので、そろそろここは定石としてジャグ・バンドのもう一つの雄であるメンフィス・ジャグ・バンドがくるところなのだが、でも今さらヤズーの2枚組ってのもなあ、かといってコレクターズ・クラシックス盤はジャケが地味だし…などと逡巡していたところ、ひらめいた。サウス・メンフィス・ジャグ・バンドである。うむ、このちょっと変化球っぽいところが当ブログらしくていいではないかとひとり悦に入ってるわけだけど、どうでもいいか、そんなことは。

メンフィス・ジャグ・バンドほどではないにせよ、このサウス・メンフィス・ジャグ・バンドもメンバーは流動的であったが、メインと言えるのがリーダー格のジャック・ケリー(g/vo)、そしてウィル・バッツ(vn/vo)、ダン・セイン(g)という名うての3人。あとほかにメンフィス・ミニーの3番目の亭主として知られるリル・サン・ジョーが加わったトラックもある。
肝心のジャグだが、いるにはいるが、このバンドはジャグがいてもいなくてもあまり関係がないというか、ジャグはどうでもいいというか。一聴、普通の(平凡という意味ではない)戦前ブルースで、ジャグ・バンドとしての様式美をほとんど持たないのがこのバンドの特徴と言える。実際、ジャグなしの録音も多いし。聴きどころは一にも二にも南部テイストの濃いジャック・ケリーの歌とギターにある。またフランク・ストークスとのビール・ストリート・シークスのコンビで知られるダン・セインとの絡みもなかなかよい。

サウス・メンフィス・ジャグ・バンドはオリジンのオムニバスでも数曲聴けるが、単独盤はフライライトのこの1枚のみ。なおドキュメントのCD(BDCD-6005)は長らく廃盤となっていたが、最近再プレスされている。

South Memphis Jug Band (Flyright LP 113)

| | Comments (12) | TrackBack (0)

Feb 21, 2007

Washboard Rhythm Kings

Wrk

スピリッツ・オブ・リズムのメンバーだったレオ・ワトスン、テディ・バン、ウィルバー・ダニエルズが一時期在籍していたことでジャイヴ・ファンにも人気があるウォッシュボード・リズム・キングス(以下WRK)については、デンマークのコレクターズ・クラシックスがその全容をCD5枚にまとめ上げている。
CDで5枚というとかなりのボリュームだが、中身を見てみるとWRK以外のバンドがかなり混ざっているのが分かる。ファイヴ・リズム・キングス、ザ・リズム・キングス、シカゴ・ホット・ファイヴ、ウォッシュボード・リズム・ボーイズなどである。
この全集の編集はブライアン・ラストの『JAZZ RECORDS』に依っており、上に列記したバンドが混在しているのもそのディスコグラフィのとおりなのだが、なぜ異なるバンド名を持つこれらのバンドがWRKの項目でくくられるのかはよく分からない。彼らの録音はほとんどがヴィクターなので、少し前に紹介したカリフォルニア・ランブラーズのようにレーベル別に名前を使い分けていたというわけではない。また、メンバーはかなり流動的で、総入れ替えといっていいほど、その時その時でまるで違っている。冒頭に触れたスピリッツ・オブ・リズムのメンバーにしても、実際はワン・セッション行っただけである。よって、構成メンバーによるつながりというわけでもないようだ。
というわけで、なかなか実態のつかみづらいバンドだが、これ以上考察しても意味がないのでやめる。別にそんなことに興味があるわけじゃないし。

さて、WRKにはその複雑なキャリアの中でいくつかハイライトと言える録音がある。一つは再三触れるスピリッツ・オブ・リズムのメンバーによるもの。それからジョージア・ウォッシュボード・ストンパーズのメンバーでもあったタフト・ジョーダン、クラレンス・プロフィットらによるもの。そして女性トランペッター、ヴァレイダ・スノウが参加したものと、いずれも好き者を自認するオールド・ジャズ・ファンであれば必聴の音源と言える。またファッツ・ウォーラーに近いニュアンスもあり、ジャイヴ・ファンも必ずやコレクションの列に加えるべきである。しかし、だ。残念ながらこの全集はすべて廃盤なのである。
いや、別に「こんな素晴らしい音源が廃盤になっているとは実にけしからん!」なんてことが言いたいわけではない。よくそういうことを言う人がいるけれど、私にはそういう考えはこれっぽっちもない。幸い私は持っているのだ。だから別に再プレスしてくれなくても一向に構わないのである。そりゃ聴きたいと思っている人には気の毒だとは思うけど、でも聴けないものは仕方がないじゃないか。人間あきらめだって肝心なのである。

と、ここまで書いてみたが、結局私は何が言いたいんだ。聴きたい人は中古のCDかLPでも探してくださいってことじゃないし。う~ん、今回はちょっとまとめきれなかったな。

Wrk_sor

Washboard Rhythm Kings - Serenaders 1930-1933 (RCA 430.700)
Leo Watson & The Spirits Of Rhythm (Caete LP-1)

| | Comments (5) | TrackBack (0)

Jan 31, 2007

ジャグ・バンドのレコード (4)

Whoopee102

先日、何かいい出物はないかとeBayを物色していたところ、「おお!」というものに出くわした。ホイッスラーズ・ジャグ・バンドのジェネットの78s。コンディションは「ex」。だが、画像で見た感じはニア・ミントと言ってもいいくらいにすこぶるよさそうで、しかもオリジナルのカンパニー・スリーブ(これがまたいい状態!)まで付いている。で、肝心のスタート値であるが、これが何と破格の9ドル!
出品から2日ほど経過しているが幸いまだ誰もビッドしていない。普段ならSPは無視するのだが、さすがにジェネットのピカ盤がこの値なら!というわけでここは慌ててビッドせず、「よしよし、誰にもみつかるなよ」と静観することに。
それから二日後くらいだったか一人がビッド。「チッ! 見つかったか」と思いつつも、まあ最後にひっくり返せばいいかと、さらに静観することに。が、ここまでだった。
次の日にはあれよあれよという間に40ドル。ここでもう私、ほとんど戦意喪失。「やっぱりなあ…」。しばらくは40ドルで止まっていたが、案の定最終日にはビッド合戦。結局、落札価格が420ドルだって。相場すか?これ。これじゃあ、悔しいと思う気も起きない。
以上、世の中そんなに甘くないというお話。

さて、SPは逃しはしたが、手持ちのもので聴けないわけじゃない。その辺り、抜かりはないのである。
ホイッスラーズ・ジャグ・バンドは、以前ディキシーランド・ジャグ・ブロワーズのところで触れたサラ・マーティンズ・ジャグ・バンドと並び、ジャグ・バンドとしては最も早い1924年に録音を行ったバンドである。その彼らが最初に録音を行ったのがジェネットで、未発表曲/テイク違いを含めて全部で11曲を吹き込んでいる。逃した盤に収録されていた2曲、"Chicago Flip"と"Jerry O'Mine"は「ジャグ・バンドのレコード(1)」で紹介したリヴァーサイド盤に入っているのだが、しかしここでもう一度同じ盤を取り上げても仕方がないので、今回は彼らのヴィクター録音が聴けるLPを。
彼らはジェネットの後、オーケーに数曲を録音。そしてその後ヴィクターにSPたった1枚分の録音を残す。31年6月録音、Victor23305。これが彼らの最後の録音となっている。

V.A. - Jug Bands 1924-1931 Vol.1 (Whoopee 102)

| | Comments (4) | TrackBack (0)

Jan 08, 2007

Clarence Williams

Clarence_williams

クラレンス・ウィリアムスというと決まって「ピアニストというよりもプロデューサー、コンポーザーとして活躍した人物で……」などと書かれるわけである。確かにジャズ・ピアニストとしては二流であったが、個人的には彼のヘタウマ的ピアノ伴奏が好きだった。
彼のピアノを最初に意識したのはシッピー・ウォーレスの伴奏だった。テクニック的にどうというものはないのだけれど、歌や曲のよさを際立たせる実に上手いバッキング・ピアノで、サッチモがバックを付けたものよりウィリアムスのピアノのみをバックに付けたものの方に強い感銘を受けたのである。大体サッチモは女性シンガーのバックでは吹き過ぎるきらいがあるのだが。
あとバタービーンズ・アンド・スージーを聴いていたときも非常に印象的なピアノに耳を引かれ、誰だろうと思ってデータを見たところ、やはりそれもクラレンス・ウィリアムスだった。

何で唐突にクラレンス・ウィリアムスをというと(ま、いつも唐突だけど)、年末年始にかけてずっとクラレンス・ウィリアムス漬けだったからで、そのきっかけが何の気なしに聴いたコレクターズ・クラシックス盤だった。これは彼のウォッシュボード・バンドものばかりを集めた編集盤で、その昔『ブルース・レコード・ガイド・ブック』で佐々木健一氏が大スイセンしていた。で、これがどうした具合か今の気分にピタッとハマってしまった。それからというもの一週間聴きっぱなし。聴き過ぎて、しまいには次に何の曲が来るか分かるまでになった。
よしこの勢いでと、次に聴いたのがナッチェズ盤。ナッチェズにはクラレンス・ウィリアムスのアルバムが3枚あるが、これがまた内容がいいんだな。特に第1集。これまた立て続けに10回以上聴いた。バックに名を連ねるのがバッバー・マイレイ、オットー・ハードウィック、キング・オリヴァー、バスター・ベイリー、etc。ヴァージニア・リストンのヴォーカルがまたタマラン!
第3集と4集は2枚組になっていて、こちらはブルー・ファイヴ、ウォッシュボード・バンドを中心に編集されている。ブルー・ファイブはサッチモとベシェの名前ばかりが取り沙汰されるけれど、トーマス・モリスやエド・アレンのブルージーなコルネットも実に味わい深く、もう少しクローズアップされてもよいのではないか。今度、トーマス・モリスでも取り上げるか。

クラレンス・ウィリアムスは仏クラシックスの14枚からなる全集も持っているが、半分くらい聴いたところで挫折している。今年は時間を見つけてじっくり聞いてみたいのだが。さて、そろそろ原稿に取りかからなくては。

画像左より
Clarence Williams & The Washboard Bands (Collector's Classics CC44)
Clarence Williams 1926-1930 (Natchez NLP-3001)

| | Comments (6) | TrackBack (0)

Jan 02, 2007

ジャグ・バンドのレコード (3)

Cjs_1

ジャグ・バンドと一口に言っても、例えば戦前のもので言うとジャズ・フィールドで語られるものとブルース・フィールドで語られるものに分けられるし(別に分けなくてもいいけど)、また戦後になると白人のフォーク・リヴァイヴァルの中から生まれてきたもの、あるいはイギリスに渡ってスキッフル・バンドと呼ばれるようになったものといった具合にそれなりにいろいろとあるわけである。しかし、ここでは戦前のジャズ/ブルース・フィールド内のものに限って取り上げるので、あらかじめご了承のほど。実を言えば、それ以外のものはあまりよく知らないからなんだけど。
というわけで、前回のディキシーランド・ジャグ・ブロワーズはどちらかといえばジャズ系になるかと思うが、今回ははっきりブルースとして捉えられているキャノンズ・ジャグ・ストンパーズを。

画像左のハーウィン盤は2枚組のコンプリート集で、27年にバンジョー・ジョー(ガス・キャノン)がパラマウントにブラインド・ブレイクのギターをバックに吹き込んだものも含んでいる。見開きジャケの中には数ページからなる詳しい解説書が付く。
ストンパーズのLPというとヤズーにも同じく2枚組のものがあるが、このハーウィン盤と確か内容はまったく同じはずで、よって私はヤズーのは持っていない。あとルーツにも1枚あるが、内容的にはこれら2枚組LPにすべて吸収される。

もう1枚のEP盤は、アレクシス・コーナーが自らのコレクションを使って編集した「キングス・オブ・ザ・ブルース」というシリーズの第1集(第3集まである)。収録曲は"Repley's Blues"、"Viola Lee Blues"、"Big Railroad Blues"、"Springdal Blues"の4曲。
このシリーズは第1集のみストンパーズの単独盤で、他の2枚は戦前ブルースのコンピとなっている。

さて、この「ジャグ・バンドのレコード」のシリーズだが、レコードを出すだけでバイオだとか音がどうであるとかといった、そういうめんど臭いことには一切触れないことになっている。しかしこれでは単なるモノ自慢のようで少々気が引けるので、どんな音なのか興味があるという方のためにせめて試聴リンクだけでも(こちら)。CDを買わなくて済むくらい、丸々何曲も聴けます。

Cannon's Jug Stompers (Herwin 208)
Alexis Korner Presents Kings Of The Blues Vol.1 (RCA RCX-202) [EP]

| | Comments (6) | TrackBack (0)